クレジットカードや電子マネーで買い物した際のおつりを、投資に回すことで資産形成に役立てる「おつり投資」が普及しつつあります。
少額の投資とはいえ、利益を狙う以上税金の問題は発生しますし、相応の手続きが求められる確定申告のことも頭に入れておく必要があります。
確定申告は行わなければならないのでしょうか?

目次
おつり投資は基本的に課税される
NISAの正式名称が「少額投資非課税制度」であることを耳にした方もいらっしゃると思います。
年間の非課税枠を超えない程度で投資すれば、運用益非課税のメリットを受けられます。
マメタスやトラノコはNISAを選べず
マメタスやトラノコといったおつり投資の有名どころでも、NISAには対応していません。
マメタスは最低投資額や年2回のリバランスがあるために、120万円という年間非課税枠を超過することを理由にしております。
3種類の口座から選択する
取引が課税される口座ですが、3種類の口座から選択する必要があります。
「一般口座」と「特定口座」があり、さらに特定口座は「源泉徴収あり」(源泉口座)と「源泉徴収なし」(簡易口座)の2種類があります。
特定口座の場合は、確定申告の計算資料(平成31年3月までは申告書に添付する義務がありました)となる年間取引報告書が発行され、国税庁の確定申告書作成コーナーで申告書作成を行う場合は、ほぼそのまま転記できます。
売買益(売却金額 ― 取得費 ― 手数料)に対しては、所得税率15.315%・住民税率5%で課税されますが、売却段階で取扱業者側が税金を徴収するのが源泉口座です。
源泉口座しか選択できない場合もある
ただ、トラノコのように源泉徴収あり特定口座の1択になる業者もあります。
源泉口座は確定申告の対象としなくて良いという大きなメリットもあり選択者も多いのですが、デメリットも知っておいたほうがいいです。

メリット
源泉口座で生じた譲渡所得は、確定申告の対象としてもしなくてもよいのですが、他口座や前年以前3年間で損失が生じた場合申告することで、徴収された税金が還付(もしくは他の所得で発生した税額から差し引き)されます。
また自治体の健康保険・介護保険料は、申告対象とすると算定基準に組み込まれるので、自営業者や高齢者の場合、申告しないことで保険料を節減できるというメリットもあります。
ただ、勤務先の社会保険に加入している場合は、保険料には影響しません。
デメリット
給与所得者の場合、勤務先の年末調整で所得税計算が終わることも多いです。
わざわざ少額の所得を申告することによる確定申告件数が増えないよう、従たる給与収入と給与・退職所得以外の所得が年間20万円以下の場合に申告不要を認める制度があります。
おつり投資で年間20万円の所得しかないサラリーマンの場合、20万円 × 15.315% = 約3万円の所得税は払わなくてもいいわけです。
源泉徴収ありの場合はこの金額が徴収されてしまうというデメリットもあります。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)