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毎月給料から引かれる「アレ」の正体
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会社員の毎月の給料明細からは、健康保険料や厚生年金保険料が控除されていると思います。
毎月給料からかなりの金額が引かれて疑問に思っている方も多いのではないのでしょうか?
健康保険や厚生年金保険などの社会保険料は、加入事業所の被保険者が事業所や事業者と半分ずつ支払っています。
社会保険料の算出方法は、被保険者ごとの報酬額により設定された標準報酬月額ごとに決まってきます。
ここでは、社会保険の標準報酬月額とは何かや、どのように算出されるのかについてわかりやすく解説していきます。
社会保険の標準報酬月額とは
社会保険の標準報酬月額とは、社会保険の被保険者ごとの厚生年金保険料や健康保険料を決定するための、等級ごとに設定されている金額のことを言います。
厚生年金の場合は31段階の等級の標準報酬月額に分かれていて、健康保険の場合は50段階の等級の標準報酬月額に分かれています。
標準報酬月額の等級は被保険者ごとの報酬月額から決定され、等級ごとの標準報酬月額に厚生年金や健康保険の保険料率を掛けることにより保険料が決まります。

報酬月額が高い人ほど標準報酬月額の等級が大きくなるため、収入が高い人ほど社会保険料を多く払っていることになります。
しかし、等級が1番高い厚生年金の31等級と健康保険の50等級は報酬月額の上限が決まっていないため、最高等級に該当する人は報酬月額がどんなに高くても社会保険料は一律です。
社会保険の標準報酬月額の決定方法
社会保険の標準報酬月額は、基本的には定時決定という方法で決まります。
定時決定とは、毎年7月1日に事業者に雇用されている被保険者の4月、5月、6月の3か月間の平均給与を基に算出する方法です。
定時決定により決定された標準報酬月額は、基本的にはその年の9月から次の年の8月までの1年間適用されます。
被保険者の報酬が大きく変動して実際の報酬と決定された標準報酬月額との差が大きくなった場合は、随時改定という方法により標準報酬月額を決定します。
随時改定は報酬の変動があった月から3か月間の平均給与を標準報酬月額等級区分にあてはめ、現在の標準報酬月額と2等級以上の差があった場合に行われます。
随時改定による標準報酬月額の改定は、報酬の変動があった月から4か月目に行われます。
他の標準報酬月額の決定方法は、入社をして新規に社会保険の被保険者になった場合の資格取得時の決定や、産前産後の休業や育児休業が終了した場合の産前産後休業・育児休業終了時の改定などがあります。
社会保険料の計算例
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モデルケース:東京都の会社に勤める会社員Aさん、4月、5月、6月の3か月の平均給与が26万円
厚生年金の場合、17等級で標準報酬月額は26万円
健康保険の場合、20等級で標準報酬月額は26万円
健康保険料の算出
標準報酬月額26万円 × 保険料率9.9% ÷ 労使折半2 = 1万2,870円
厚生年金保険料の算出
標準報酬月額26万円 × 保険料率18.3% ÷ 労使折半2 = 2万3,790円
会社員Aさんの1か月の社会保険料は、3万6,660円です。
給料から引かれている社会保険のシステムを少しでも理解しておくと、役立つことがあると思います。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 明広)