近年は土地や建物などの不動産価格の上昇により、土地の持分が少なくスケールメリットが活かせるため建物の費用が安くできるため、マンションがマイホームとして選ばれることが多くなってきています。
マンションは優れた立地条件や最新設備が比較的安価に利用できるといったメリットがありますが、集団生活であるため戸建てをマイホームとするのとは違った特徴もあります。
今回は、マンションをマイホームとした場合に負担することになる「修繕費」について説明をさせていただきたいと思います。

修繕費の仕組みとは?
近年多くのマンションにおいて修繕費の積立が不足していることが判明し、将来治安上の大きな問題になりかねないとして、自治体を中心に問題視され始めました。
ほとんどの人が修繕費はしっかり支払っているはずですが、どうしてこの様な問題が生じてしまうのでしょうか。
その一因として多くのマンションで採用している修繕費の積立方法にあります。
販売業者などはマンション完成後にできるだけ多くの居室を売却したいと考えますが、その際、修繕費負担が大きいと購入を手控えられてしまう恐れがあります。
そのため築年数が浅いうちは修繕費の積立額を小さくする「段階増額方式」を採用しています。
段階増額方式は一定期間おきに修繕費の値上げが必要ですが、値上げのためにはマンション管理組合で組合員の過半数の賛成が必要となる普通決議を経る必要があり、自然に上昇させることはできません。
この際に決議が通らなければ、修繕費は据え置かれ将来に問題が発生する可能性が高まります。
このため、国交省では修繕費の値上げが原則不要である「均等積立方式」を推薦していますが、現状この方式を採用しているマンションは多くありません。
修繕費の取り扱いに注意が必要
マイホームとしてマンションを選ぶ場合、修繕費の取り扱いに注意が必要です。
多くのマンションでは段階増額方式を採用しており、当初は低額であっても築年数の経過に従って修繕費の積立額が増加していきます。
この他にも入居者が死亡するなどして空室が増えた場合にも、一戸当たりの修繕費の負担額が増加していくことになります。
マンションは鉄筋や鉄骨、コンクリートなどで構成されており適切な管理・修繕を行うことによって半永久的に利用することができるといったメリットがありますが、現状「適切な管理」を行うには住民の合意形成の面で問題を抱えることが多くあります。
修繕費の増加が資金的余裕が小さくなる老後などに生じるからです。
居住形態がマイホームの場合、一般に老後の住居費は小さくなっていきます。
しかしマンションに居住している場合は修繕費負担が徐々に増加していくことになります。
住居に関して準備すべき費用が、マンションと戸建てでは異なりますので注意が必要です。
修繕費の平均額は20階以上のタワーマンションの場合1平米あたり208円となります。
仮に70平米ほどのマンションの場合では修繕費は月額1万4,560円が目安となります。
※参考:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(pdf)
もしこの金額より少ない積立額でしたら将来大きな増額が必要となる可能性があるため、差額を貯蓄するなどして増額に備えましょう。(執筆者:菊原 浩司)