ジャパンネット銀行が2019年8月から、ようやく住宅ローン事業に参入しました。
ただ、ネット銀行の再先発行として、2000年に設立され既に20年がたっています。
数年前の、住宅ローンが一番活況を呈していた時期を逃したと言わざるを得ません。
今回は、ジャパンネット銀行の住宅ローンについて、強みと弱みを解説していきます。
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目次
母体は三井住友銀行とヤフー、じぶん銀行と似た構図
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ネット銀行はほぼ全てが、大手企業の子会社となっています。
これは、単独ではネット銀行としてやっていくにはリスクが高く、また各社とも実験的な位置付けもあるからです。
ジャパンネット銀行も例外ではなく、出資構成は紆余曲折を経ながら、現在は三井住友銀行が44.25%、ヤフーも44.25%、富士通が5.00%を出資しています。
これと似た構図として、auフィナンシャルHDが63.8%、三菱UFJ銀行が36.2%を出資する、じぶん銀行が挙げられます。
ジャパンネット銀行には、不思議なことに今まで住宅ローン事業がありませんでした。
これはヤフーが出資している関係で、様々な決済サービスを優先した結果かもしれません。
また三井住友銀行も出資していることから、三井住友銀行のインターネットを活用した住宅ローンサービスである、「審査アプリ」が軌道に乗ったのを確認したかったのかもしれません。
いずれにしても、ネット銀行としてはかなり後発の住宅ローン事業参入となりました。
シンプルイズベスト、変動金利では最低水準
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ジャパンネット銀行の売りは何かと言えば、変動金利や固定金利の低さです。
2019年8月現在では、
です。
固定金利は長期金利の低下により、まだ下げ余地がありますが、変動金利はさすがに厳しく、ネット銀行でも0.457%で横並びでした。(銀行により疾病保障サービス付保)
従って、ただ単純にとにかく低い金利で借りたいという顧客であれば、ジャパンネット銀行が提供する金利は魅力的に感じるでしょう。
ただし、ネット銀行によっては0.457%で8大疾病保障などが付保されている所もありますが、ジャパンネット銀行は金利上乗せが必要です。
例えば、がん100%保障団信であれば+0.2%、11疾病保障団信であれば+0.3%といった具合です。
団信を充実させるのであれば、他のネット銀行よりも金利水準が高くなることもあり、この辺りは割り切りが必要なようです。
審査能力がどこまであるかが最大の懸念
この金利水準で間口が広ければ言うことはありませんが、恐らく大企業のサラリーマン以外は最優遇金利での融資は厳しいでしょう。
物件価格の高騰により、顧客の借入希望額は増えていますが、数年前の地銀の過剰融資が住宅ローンでも焦げ付いてきているため、今は全体的に厳しめです。
ジャパンネット銀行のこの金利水準であれば、顧客が延滞するとすぐに損失の方が上回るため、融資には慎重にならざるを得ないと考えられます。
そのため、過度の期待は禁物と言えるでしょう。
金利水準以外の特徴が欲しい
ジャパンネット銀行の住宅ローンが伸びるためには、金利水準以外のアピールポイントが欲しいところです。
電子契約も既に普及していますし、やはり親会社のヤフーと共同した特典などでしょうか。
住宅ローンに参入するネット銀行が増えることは好ましいことであり、ジャパンネット銀行が今まで参入していなかったのが不思議なくらいです。
今後どのようなサービスを展開してくれるのか、期待したいと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)