保険業務をしていると、お客様から「通院をしたらもらえる保険はありますか?」と尋ねられることがしばしばあります。
年齢を重ねてくると周りで通院をする人が増え始めて、ひとごとではないと気づかれるようです。
その不安はとてもよく理解ができますが、医療保険の通院特約には期待ができない理由があります。
目次
通院給付金は、どういう場合に受け取れるのか

これは保険商品によって違いがありますが、主要なところは以下のようになります。
1. 病気やケガで入院給付金が受け取れる内容の入院をすること。
2. その退院後の180日や120日の間にした治療を目的とした通院であること。
入院前の通院が保障される商品は、入院前の60日の間にした通院が対象。
3. 受け取れる上限は1回の入院の通院に対して30日分・通算1,095日分まで。
入院のない通院は保障をしてもらえません。
また、入院前後の180日の間にした通院でなければ保障をしてもらえません。
通院の実情と、実際に受け取れる金額
保険会社のホームページやパンフレットなどにも通院のデータがよく記載されていますが、これは「入院前後に通院した人の数」や「通院が長く続いたときの総日数」などです。
「通院はたくさんする」というイメージを持ってもらうためのデータを記載しているのであり、「保障の対象になった通院日数」ではありません。
筆者は、給付金請求の対応をするたびに
「受け取ってもらえる金額が少ない」
と実感をしていました。
実際に給付対象となった通院は1日分から3日分くらいであり、多くて5日分くらいでした。
金額にして3,000円から2万5,000円くらいです。
受け取れる金額が少ないので請求するのを面倒に感じている人もいました。
意外と多く払うことになる通院特約の保険料
これも保険商品によって違いがあります。
医療標準型:50歳・通院日額5,000円・終身払いの場合(2019年8月現在)
【三井住友海上あいおい生命】
男性:月990円
女性:月895円
【アフラック生命】
男性:月910円
女性:月820円
【メットライフ生命】
男性:月890円
女性:月665円
10年間で約10万円の保険料を支払うことになります。
現在50歳の方で、80歳までなら約30万円、100歳までなら約50万円を支払います。
支払った金額ほどは、受け取れていない

入院前後の通院で1万円や2万円が受け取れると助かるときもありますが、
これからの10年間で5回ほど入院をするでしょうか。
これからの30年間で15回ほど入院をするでしょうか。
直近10年間の請求事例からは、受け取る機会が少ない、受け取れても少額でした。
通院特約の保険料の分は貯蓄にまわしておき、いざというときにどんな名目でも使えるお金として持っておくことがよいでしょう。
今では、
・ 入院したとき
・ 退院したとき
・ 退院後の通院が1回あったとき
などに、一時金を受け取れる商品も増えてきて、そちらのほうが受け取れる金額も明確です。
ガン(悪性新生物)は、特別に通院の多い病気で、特別な通院のしかたになるので、これだけは分けて、大きな一時金やガン保険の通院特約で対応したほうがよいでしょう。(執筆者:小川原 吉美)