長年ダイヤモンドのビジネスに携わっていますが、先日ある人が
と仰って、ジュエリービジネスに懐疑的な印象を持っていらっしゃいました。
このように、手持ちのダイヤモンドジュエリーを売りに持っていったら「二束三文」にしかならなかったという経験をされている方は、意外と多いのかも知れません。
果たして、ダイヤモンドは資産として価値があるのでしょうか。

目次
ダイヤモンドジュエリーの値付け
ここでは、新商品として販売される価格の設定と、所有していたジュエリーを買い取りに出した場合の価格設定を見ていきます。
販売価格の設定
すべての商品には、コストがあり流通に関わるたびに利益が計上されます。
ダイヤモンドがジュエリーとして百貨店で販売されるまでには、
・そのダイヤモンドを使用してジュエリーを制作するメーカーのデザイン料
・加工賃に加えて加工会社の利益
・百貨店の利益
が計上されます。
さらに、
・PRするための費用
・ディスプレイや備品
・パンフレット
など、さまざまな経費を踏まえて小売価格の設定が行われます。

買取価格の設定
自分のジュエリーを買い取りに出した場合には、どうなるのでしょうか。
買い取り価格は、
されます。
特に、一般の買取り店では宝石の適正な価格評価ができない店も多く、利益を搾取したいがために安く見積もりするような業者もあることは残念ながら事実です。
ダイヤモンドは、資産として成り立つのか
例えば、ダイヤモンドジュエリーを30年後に売却するとして、その際には同じ3万円の価格になるでしょうか。
確約はできませんが、恐らくもっと高く評価されると私は思います。
地金は表面が酸化して傷がついても磨き直せばきれいになりますし、宝石、特にダイヤモンドは30年たっても劣化することはありません。
そして、その時代のマーケットプライスで売買されます。
なのです。
ダイヤモンドを資産として所有するには

では、ダイヤモンドを資産として所有するにはどうしたらよいのでしょうか。
まずは、「資産としてのダイヤモンド」の基本を以降の4つに分けて説明していきます。
1. ダイヤモンド投資の概要
2. ダイヤモンドのマーケット
3. ジュエリーとダイヤモンド投資の違い
4. スタートラインに立つための基礎知識
1. ダイヤモンド投資の概要
ダイヤモンドの歴史や価値、価格推移の実績などから投資の概要を見てみましょう。
歴史と資産価値
ダイヤモンドは、世界で最も小さく、軽く、運搬性に優れた富の形態です。
マーケットをコントロールしているのはユダヤ人であり、世界的なマーケットで取り引きされています。
第2次世界大戦中、リトアニアの領事館に赴任していた杉原千畝氏は、ドイツの迫害によりポーランドなど欧州各地から逃れてきた難民たちの窮状に同情して外務省からの訓令に反して大量のビザを発給しました。
そして多くのユダヤ人はロシア経由で日本へ、その後アメリカやヨーロッパへと逃れましたが、その際にカバンに入れていたものがダイヤモンドだったのです。
そして、彼らはそれを売却して現在のユダヤ人のコミュニティを確立していきました。
実績:50年で価格が10倍以上上昇
ダイヤモンド価格は50年前と比べると10倍以上、上昇しています。
今後も天然ダイヤモンドの採掘量が減少していくと思われますので価格は上昇していきます。
ジュエリー用として流通するダイヤモンドは約20%、その他は工業用のダイヤモンドとして世界で流通しています。
最近のマーケット状況をみると、中国経済が弱含みのため昨年と比べると流通量が減っていてオーバーストック気味ですが、ジュエリー用のダイヤモンド原石、特に奇麗で大きなものは価格が上昇しています。
普遍性:歴史的にみても変動が少なくプラス成長
政変、社会不安、金融危機時の驚異的な弾力性があります。
「ブラッドダイヤモンド」というレオナルド・ディカプリオ主演の映画がありますが、ダイヤモンドは内戦下の資金源として流通していました。
発展途上国でも先進国でもダイヤモンドは資産として流通するのです。
そして、その価値は歴史的に見ても変動が少なく、貴金属や株式とは異なり着実にプラスの成長を続けています。



利益率:ダイヤモンドに維持費は不要
ダイヤモンドの「安定した高付加価値」の実績に匹敵するものは他にありません。
不動産は固定資産税を毎年支払います。
建物には保険料がかかります。
車やクルーザー、飛行機などにはランニングコストと管理費などが必要です。
最近では、時計も資産として所有する方がいらっしゃいますが、使用すれば維持費やダメージの危険性もあります。
特に、ブランド時計は通常の時計と同じ作業のメンテナンスを行ってもコストがはるかに高いのです。
ダイヤモンドには、維持費などを支払う必要がありません。
匿名性:登記の必要がない
法定報告要件の対象となりません。
貴金属は200万円を超える購入の際には、「犯罪収益移転防止法」により本人確認が必要です。
しかし、ダイヤモンドの場合は登記する必要がありません。
結婚する際に母親から譲り受けたダイヤモンドの指輪を新郎が新婦に渡して贈与税を取られたという話は今まで聞いたことがありません。
ダイヤモンドは資産としても非常に手堅いものなのです。
「資産としてのダイヤモンド」の基本2.~4.は、次回以降でお話ししていきます。(執筆者:菅 好男)]