住宅ローンの返済方法として一般的なのが、毎月の返済額が一定となる元利均等返済です。
返済方法としてはもう1つ、「元金均等返済」というのがあります。
今回は、意外と知られていない元金均等返済について、そのメリット・デメリットを解説します。
目次
元利均等返済と元金均等返済の違い
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住宅ローンの返済方法は、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
元利均等返済
元利均等返済は、借入金(元金)と利息を合わせた毎月の返済額を、一定額に設定した返済方法です。
毎月の返済額が一定のため、返済計画が立てやすいというメリットがあります。
元金均等返済
元金均等返済は、元金の返済を毎月一定額に設定した返済方法です。
元金が早く減るため、毎月支払う利息も減り、返済が進むにしたがって毎月の返済額が小さくなります。
元金均等返済のメリット
1. 総返済額が元利均等返済よりも少なくて済む
今回とりあげる「元金均等返済」の最大のメリットは、同一条件ならば、
という点です。
たとえば、3,000万円を固定金利1.5%、返済期間35年で借りた場合、総返済額は元利均等返済なら約3,858万円。
元金均等返済なら、約3,789万円となり、およそ69万円安くなります。
2. 返済が進むと返済額が減っていく
元金均等返済は、当初の返済額が一番高く、後半になるにつれて返済額が減っていきます。
そのため、将来の負担が軽くなるというメリットもあります。
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元金均等返済のデメリット
1. 当初の負担が重い
元金均等返済の場合、元利均等返済に比べて当初の返済額が多くなります。
3,000万円を固定金利1.5%、返済期間35年で借りた場合、元利均等返済なら初回の返済額は約9.2万円。
一方で、元金均等返済なら約10.9万円となり、およそ1.7万円の差が生じます。
2. 購入できる家の予算が下がる
返済が始まってしばらくの間は、元利均等返済に比べ、元金均等返済の方が毎月の支払額が大きくなります。
返済負担が重くなるため、融資が受けられなかったり、元利均等返済で借りる場合より借入額を減らされたりする可能性があります。
3. 元金均等返済を扱っていないこともある
そもそも元金均等返済を扱っていない銀行もあり、元利均等返済に比べて選択肢が少ないというデメリットもあります。
ライフプランに合わせて返済方法を選択しよう
融資の審査が厳しくなることや、現在は低金利が続いていて総返済額に大きな違いが出にくいことから、住宅購入時は元利均等返済を勧められることがほとんどです。
そのため元金均等返済を選ぶ方は少ないのですが、
・小さな子どもがいる場合、お金がかかる大学生の時期に月々の支払額を減らせる
というメリットもあります。
元利均等返済、元金均等返済それぞれのメリット・デメリットを知り、ライフプランに合った返済方法を選んでください。(執筆者:AFP、2級FP技能士 青海 光)