会社員の頃は特別に意識せずに使っていた健康保険証も、会社を離れると同時にお別れです。
その後、どうなってしまうのかについては、選択肢が基本的には4つあり、退職後どのような働き方、生き方を選ぶかによって左右されます。
その4つの選択肢について、解説していきます。

目次
選択肢1:「国民健康保険」に加入する
日本では、国民皆保険制度といって、全ての人がなんらかの公的医療保険に加入することになっています。
これから紹介する選択肢2、3、4に当てはまらない方は、退職後は市区町村が運営する「国民健康保険」に加入します。
選択肢2:「任意継続被保険者」になる
「任意継続被保険者」とは、もともと勤めていた会社の健康保険に個人で加入する方法です。
と決められています。
また、いったん「任意継続被保険者」を選ぶと途中で抜けることはできません。
個人での加入ですので、在職中は会社と折半だった保険料は全額自己負担です。
保険料が全額自己負担なのに「任意継続被保険者」になるメリット
「任意継続被保険者」の保険証を使っても、在職中の保険証を使っても医療機関での自己負担割合は3割と変わりません(70歳以下の場合)。
そのうえに保険料は全額自己負担というとメリットが感じられないような気もします。
しかし、次のようなメリットがあるのです。
メリット1:保険料が安くなる可能性
・扶養者が多い場合
には、「任意継続被保険者」の方が「国民健康保険」よりも保険料が安くなる可能性があります。
年収や扶養者の数、お住まいの地域などによって保険料は変わってきます。
気になる方は退職前にお勤め先の総務部や社会保険労務士などに相談してみましょう。
メリット2:健康保険組合の福利厚生などを利用できる
お勤め先や健康保険組合によって内容は変わってきますが、一例として、
・提携するスポーツクラブの割引が受けられる
・病気の治療にかかった金額が高額になった場合、付加給付金を出してもらえる
と、後ろ盾がない個人での活動をしていくうえで、とても助かる内容がそろっています。
福利厚生はどこの会社もあまり使われず、社員自体も内容を把握していないことが多いというのが現状ですが、福利厚生や保険料など考慮して総合的にどちらに魅力を感じるかを判断しましょう。

選択肢3:子供などの勤め先の健康保険の被扶養者になる
子供、あるいは奥さまなどがお勤め先で健康保険に加入している場合、子供や奥さまの被扶養者になるのも1つの方法です。
被扶養者になると直接的に保険料を支払う必要がなくなります。
なお、被扶養者の年収は180万円未満(60才以上)などの条件があります。
選択肢4:再就職、転職などで再度会社勤めをし勤務先の健康保険に加入
最近は労働人口の減少という傾向もあり、元気なシニアには引き続き働いて欲しいという会社も増えています。
再就職先の健康保険に加入できれば、定年退職前と変わらず、保険料は会社との折半で、引き続き公的医療保険を受けられます。
定年退職前に情報収集と判断をしておく
定年退職や定年を待たずして退職後に起業し、まずは個人事業主としてスタートすることを考えている場合には、「国民健康保険」に加入するだけでなく、「任意継続被保険者」に加入するという選択肢もあります。
「任意継続被保険者」の期間は2年と限られていますが、先述の通り、その間は個人事業主の立場でありながら退職前に加入していた健康保険組合の福利厚生などを利用できます。
「任意継続被保険者」の申請は退職後20日以内と決まっていますので、退職してからどの公的保険に加入するのかを考える余裕はそれ程ありません。
1番納得できるものを選べるように退職前から情報収集をすることをおすすめします。(執筆者:AFP、2級FP技能士 大川 真理子)