国民年金でも厚生年金でも、年金に加入すると年金手帳が交付されます。
原則として1人に1冊の年金手帳が交付されますが、2冊以上の年金手帳を持っている方も少なくないのではないでしょうか?
かくいう筆者も、2冊の年金手帳が手元にあります。
複数冊の年金手帳を持っていると、将来もらえる年金が減ってしまう恐れがあります。
今すぐ、全ての年金手帳を手元に置いて確認しなければならないことがあります。

目次
そもそもなぜ年金手帳を複数冊持っている人がいるのか
年金手帳には3種類あり、色によって種類が違います。
・ オレンジ色
・ それ以外の色(茶色・水色・肌色など)
この3種類は、それぞれ交付された時期が違います。
年金手帳の交付時期と手帳の色
【青色】1997年(平成9年)1月~現在発行
現在発行されている年金手帳は青色です。
「基礎年金番号制度」が始まったことにより、1997年(平成9年)1月から交付されるようになったものです。
【オレンジ色】1974年(昭和49年)10月~1996年(平成8年)12月に発行
それ以前の1996年(平成8年)12月までは、オレンジ色の年金手帳が交付されていました。
【それ以外の色】1974年(昭和49年) 9月以前に発行
さらに以前の1974年(昭和49年)9月以前には、国民年金加入者のみに「国民年金手帳」が交付されていました。
国民年金手帳はおおむね5年ごとに色が変更されており、茶色・水色・肌色などがあります。
複数冊の年金手帳が手元にある理由
1977年(昭和52年)以前に生まれた
そのため、1977年(昭和52年)以前に生まれた方の中には、青色とオレンジ色の2冊の年金手帳を持っている方がいます。
さらに1954年(昭和29年)以前に生まれた方は、それ以外の色の国民年金手帳も持っている可能性があるのです。
就職や退職などの手続きの際、新しい年金手帳の交付を受けた
就職や転職、退職、結婚などをして年金の手続をした際に新たに年金手帳の交付を受ける場合もあります。
紛失して再発行を受けたがその後見つかった
年金手帳を紛失したので再発行を受けたところ、紛失したと思っていた年金手帳があとから見つかり、そのまま2冊を持っている方もいらっしゃるでしょう。
筆者の場合は、1971年(昭和46年)生まれなので、青色とオレンジ色の2冊の年金手帳を持っているケースでした。
今すぐ確認しないと将来もらえる年金が減る?
年金手帳の基礎年金番号を確認しよう
複数冊の年金手帳を持っている人が今すぐ確認しなければならないのは、「基礎年金番号」です。
基礎年金番号は、日本年金機構が年金加入履歴を管理するために、1人に1つずつ割り当てている番号です。
青色の年金手帳の場合は「基礎年金番号」の欄に記入されています。
オレンジ色の年金手帳の場合は、「記号番号」として記入されているので、そこを見てください。
お手持ちの複数冊の年金手帳を見て、基礎年金番号・記号番号が全て同じであれば、問題ありません。
そのまま何も手続をしなくても、将来もらえる年金額に影響はありません。
基礎年金番号・記号番号が異なる場合は要注意
しかし、基礎年金番号・記号番号が異なる年金手帳がある場合は、要注意です。
番号が異なるということは、
いうことです。
そのままにしておくと、年金の加入歴が通算されない恐れがあります。
将来年金の請求手続をしても、請求した分と異なる基礎年金番号・記号番号の分については年金が支給されないかもしれないのです。
請求する時点で番号が異なる加入歴があることに気付き、同一人物であることの確認ができれば満額の年金をもらえるのですが、その手続に手間がかかってしまいます。
複数冊の年金手帳を持っている方は、今すぐ全ての手帳の基礎年金番号・記号番号を確認しましょう。
基礎年金番号が異なる年金手帳がある場合は早めに手続を
基礎年金番号・記号番号が異なる年金手帳を持っている場合は、年金履歴を統合する手続をとらなければなりません。
国民年金にのみ加入している方
最寄りの年金事務所に手持ちの年金手帳を提出して手続をしましょう。
厚生年金に加入している方
会社の担当者に申し出て手続をしてもらいましょう。
いずれの場合も、忘れないように早めに手続をしておきましょう。
年金記録は定期的に確認しよう

筆者の場合は、青色の年金手帳の「基礎年金番号」とオレンジ色の年金手帳の「記号番号」が同じでした。
したがって、将来年金の請求手続をするときには何の問題もないはずです。
年金制度は何かと複雑ですが、自分の年金記録は定期的に確認しておかないと将来損する恐れがあります。
宙に浮いた年金記録問題について、いまだに約2,000万件もの記録が確認未了のままだということです。
ねんきん定期便が届いた際にでも、自主的に記録を確認するようにしたいところです。(執筆者:川端 克成)