賃貸住宅に住んでいる方にとって大きな負担となるのが毎月の家賃です。
家賃が相場と比べて高すぎる場合は、値下げを請求する権利が借り主にあります。
そこまで高すぎる場合でなくても、値下げ交渉によって減額できる場合もあります。
家賃の値下げ交渉は、ビジネス向けのテナントでは当たり前のように行われていますが、もちろん居住用の物件でも行うことができます。
毎月支払わなければならない家賃が少しでも安くなれば、それだけ生活がラクになります。
この記事では、家賃の値下げ交渉を成功させるための3つのコツをご紹介します。
目次
家賃の値下げ交渉をするなら、成功しやすい方法をとるべき

借り主には家賃の値下げを請求する権利があるとはいっても、必ずしも値下げ交渉が成功するわけではありません。
大家さんの多くは、巨額の借入をして賃貸物件を手に入れ、家賃収入をその返済に充てることによって何とか収支を合わせているので、そう簡単には値下げ要求に応じられないという事情もあります。
そこで、借り主としてはやみくもに値下げを要求するのではなく、成功しやすい方法で交渉することが大切です。
以下、成功しやすい3つのコツをご紹介します。
コツ1. 閑散期を狙う
値下げ交渉をするなら、成功しやすい時期を選ぶことが重要です。
1月~3月は4月の入学・入社を控えた繁忙期であり、大家さんにとっては借り手が見つかりやすい時期になります。
10月には企業の人事異動が多いので、9月~10月も比較的繁忙期になります。
このような繁忙期に家賃の値下げ交渉をしても失敗に終わる確率が高くなります。
閑散期は4月~8月と11月~12月になりますが、そのなかでも6月・7月が特におすすめです。
大家さんにとっては、閑散期に借り主に出ていかれると、次の繁忙期まで、下手すれば1年近く空室になってしまう恐れがあるので、値下げ交渉に成功する確率が高まります。
コツ2. 交渉は「やわらか」に行うこと
大家さんの立場でみれば、「契約どおりの家賃を払いたくないのなら、出ていってくれ」と思うのも、気持ちとしては理解できます。
そこで値下げ交渉を成功させるためには、家賃を値下げしてでも住み続けてほしいと思われる借り主になることです。
そのためには、「家賃を下げてもらって当然」というような強圧的な態度で交渉することはやめるべきです。
けんか腰な態度や強引な態度で交渉すると、大家さんの目には「問題人物」として映ってしまいます。
トラブルを起こす前に出ていってほしいと思われてしまいます。
このような借り主に対しては、少しでも早くでていってもらうために、家賃の値下げどころか逆に値上げ要求してくることさえあります。
交渉するときには、
というような、お願いモードのほうが成功しやすくなります。
コツ3. 家賃を値下げすべき根拠を指摘する
何の根拠もなしに自分の希望だけで値下げを要求しても受け入れられるものではありません。
値下げ交渉をするなら、現在の家賃が相場と比べて高いという根拠を用意しましょう。
できるだけ客観的な根拠が望ましいです。
近隣の類似物件の家賃が自分の入居物件より安ければ、有力な根拠になります。
しかし、それだけで交渉が成功するとは限らないので、できる限り多くの根拠を集めておくべきです。
・ 騒音や施設の移転といった周辺の環境の変化
をはじめとして、生活に不便と感じる事項を中心にいろいろ探してみましょう。
家賃の値上げ要求には応じる必要なし!

大家さんは、家賃の値下げ交渉にはなかなか応じてくれないのに、値上げ要求は簡単にしてくることがあります。
2019年10月の消費税増税の際にも、大家さんから家賃の値上げを要求された方が多いのではないでしょうか。
しかし、家賃の値上げ要求に応じる必要は全くありません。
のです。
契約更新時に家賃の値上げを要求されたら?
契約更新の際に家賃の値上げを要求されたことがある方も多いと思いますが、このような場合は逆にチャンスです。
もちろん、値上げに応じる必要はありません。
値上げ交渉がまとまらないうちに更新時期が過ぎてしまうとどうなるかというと、以後は従前の家賃にて「法定更新」となります。
法定更新されると、以後は「期間の定めのない契約」になるので、更新料も支払わずにすむようになります。
大家さんから値上げを要求されると応じざるを得ないと思っている方も多いと思いますが、決してそんなことはないということを覚えておきましょう。
交渉がまとまらなければ裁判もできる

家賃の値下げを請求することは、借地借家法第32条に定められた借り主の権利です。
話し合いがまとまらない場合は裁判をすることもできます。
月額数千円の値下げを求めるために弁護士に依頼するのはコストパフォーマンスが悪いですが、家賃の値下げ請求については訴訟の前に調停を申し立てることになっています(民事調停法第24条の2)。
調停の申立てなら自分でもできますし、調停期日には調停委員が中立の立場で交渉を取りもってくれます。
ただ、調停も話し合いの手続なので、けんか腰の態度では成立しにくいことに注意ましょう。
家賃を高いと感じたら値下げの交渉をしてみよう
賃貸住宅では、長く住めば住むほど家賃が相場より高くなっている場合がほとんどです。
長く住んでいれば安くしてもらっても良さそうなものですが、現実は逆です。
そんな場合は、家賃の値下げを請求してみるべきだと思います。
これから入居する場合も、交渉によって家賃を値下げできることがあります。
家賃の支払いすぎはもったいないので、高いと思ったら値下げの交渉をしてみましょう。(執筆者:川端 克成)