2019年も年末が近くなり、企業などにお勤めの方にとっては年末調整の時期となってきました。
個人の所得税は毎年1月1日から12月31日までに得られた収入と課税額を税務署に申告し、所得税を支払う必要があります。
しかし、サラリーマンなどの勤め人で一定の要件を満たす場合に、勤め先が本人に代わり所得税を申告・納付してくれる制度があります。
これが年末調整です。
年末調整を初めて行う新入社員の方や、毎年漫然と年末調整を行ってしまっている方は、今年の年末調整を期に仕組みを理解し所得税に対する意識を改めてみるのはいかがでしょうか。

目次
年末調整を受けるには
年末調整は主たる収入がサラリーマンなどの給与所得であり、所得税の課税関係が比較的シンプルな方を対象とした制度です。
そのため、
・副業などで2か所以上から給料を受け取っている
・給与所得以外の所得が20万円以上ある
場合には、年末調整による所得税の申告を行うことができません。
所得税の節税には所得控除を活用する
所得税を節税するには14種類ある所得控除を活用するのが大切ですが、年末調整だけでは全ての所得控除を適用できませんので注意が必要です。
14種類の所得控除
14種類ある所得控除とは、次の控除です。
・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・障害者控除
・寡婦(寡夫)控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
年末調整で利用できない所得控除
この内、年末調整で利用できないのは、
・入院や通院などにより一定以上の医療費を負担した場合の控除である医療費控除
などです。
これらの控除を年末調整で利用できないのは、センシティブな内容を含むため第3者が申告を代理するのはそぐわないとされているためです。
また、14種の所得控除の中では、
・地震保険料控除
は適用を受けやすいので控除枠を有効に活用していきましょう。

年末調整と確定申告を賢く使い分ける
・雑損・医療費控除を受ける
場合には、翌年の2月15日から3月15日までに税務署へ確定申告で対応する必要があります。
ので注意が必要です。
特に、災害に伴う雑損控除は、被災後の生活の建て直しの一助となります。
近年は大規模な災害発生大きな自然災害に見舞われることも多いため、年末調整の制度の限界と所得控除の種類を把握し、年末調整と確定申告を賢く使い分けましょう。(執筆者:菊原 浩司)