投資をしていると、そろそろリセッション(景気後退)がくる、という話を聞くことはありませんか。
リーマンショック以降、続いていた株高が終焉に近付いていると感じる人は多いと思います。
私も同じです。
これは感覚的なものではなく、投資銀行であるJ.P.モルガンの超長期マーケット予測を見ても全体的に低い見通しになっています。
(参考:J.P.モルガンの超長期マーケット予測)
筆者はインデックス投資を15年ほど続けており、その過程でリーマンショックを経験しました。
100年に一度級の金融危機が再来するかは分かりませんが、私たち個人投資家は備えをしておく必要があります。
本記事では、過去の株価低迷の時代を確認し、王道の対策を紹介いたします。
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目次
2000~2010年は株式投資家にとって暗黒時代だった
ここ10年の株式チャートを見ると、右肩上がりの成長を続けており、インデックス投資家が期待する長期で複利5~7%というのが難しくないように感じます。
ただし2000~2010年の10年間を見てみると一変します。
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画像はNYダウ工業株のチャートです。
2000年1月3日にITバブルが崩壊し、3年かけて下落を続けました。
株価が最高値を更新したのは2006年です。
かなり待つ必要があったのですね。
そして翌年の2007年は回復を見せますが、夏頃にはサブプライムローン問題への不安から株価はまた下がり続けました。
2008年にはリーマンブラザーズの経営破綻をきっかけに世界中の株価がすべて下落することになります。
20年前の1999年に投資を始めていたら、かなり長い期間を耐え抜く必要があったでしょう。
株式投資をする上で、低迷期は10年単位で続くことがあるというのは覚えておきたいですね。
もう1つ事例を見ておきましょう。
世界大恐慌が起こった時はどうだったか
歴史の教科書でも出てくる世界大恐慌は最も厳しいケースです。
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1929年10月24日に起こった大暴落は「暗黒の木曜日」と呼ばれています。
最高値から4年をかけてNYダウ工業株の下落率はじつに89%という記録を残しています。
また、画像から分かるように高値を取り戻すのに25年という歳月が必要でした。
たとえ暴落後の1930~1945年の15年間長期投資をするとしても、実際には株式に期待できず投資を諦めてしまうも多いのではないでしょうか。
ウォーレン・バフェットの師匠となるベンジャミン・グレアムは著書『賢明なる投資家』のなかで、必ず安全域を設けるべきと何度も語っています。
それはグレアムが大恐慌時代を生きたからでしょう。
では私たち個人投資家がどうやって来るべきリセッション(景気後退)へ備えるかを考えてみましょう。
王道の対策は2つ
個人投資家ができる対策は大きく2つあります。
・ 現金比率をしっかり決めておく
どちらも全力投資をしない、ということ。
1. 余剰資金で投資をする
投資の原則というべき事ですが、あくまでも余剰資金で投資をしましょう。
つみたてNISAなどは非課税口座の金額枠(年40万円)が決まっているので、どうしても使い切りたいと思うかも知れません。
余剰資金が多い方であれば非課税枠を埋めるのも大丈夫ですが、一般的な個人が積立投資に充てる金額は月2万8,000円という調査もあります。(参考元:トウシル)
無理をして全枠を投資する必要に駆られず、あくまで余剰資金で行いたいですね。
株価低迷期がどれだけ続くか分からないからです。
明けない夜はありませんのでコツコツと長期積立を考えましょう。
2. 現金比率をしっかり決めておく
余剰資金で投資をすることも大切ですが、現金も一定比率で保有をしておくと安心です。
筆者は株式などのリスク資産と現金をできるだけ同じ金額で保有するようにしています。
株式50%、現金50%というポートフォリオですね。
これは上述したベンジャミン・グレアムが著書の中で言っている「賢明なる投資家」のポートフォリオでもあります。
実際の話は現金でなく米国債ですが、債券利回りが低いため現金で保有しています。
実際にやってみると株価が上がればうれしいですし、少々の急落では慌てずに株が安く買えるチャンスと受け止める余裕があるのでおすすめです。
できるなら余剰資金で投資をして、その中で現金比率を約50%で運用するのが理想的な対策といえますね。
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レイ・ダリオは株式比率30%を推奨
そんな低リスクじゃ儲からない、と思う方がいるかも知れません。
しかし世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」を率いるレイ・ダリオは株式比率30%を推奨しています。
株式は債券の3倍の値動きがあり、個人投資家は通常の株価変動を長期で受け止められないから、というもの。
株式は上がる時はリーマンショック後の成長をみてわかるように、急激な成長を思ったより長い期間続けます。
下落期間もまた長いケースがあることを紹介しました。
株価の予想は誰も当てられませんが、個人投資家は誰と勝負をするわけでもありません。
とにかく相場に長く居続ける。
こういった事で、暴落や長期低迷からの急激な回復を逃さずに受けることが可能です。
いつかは低迷期と向かい合う必要があります
記事の内容をまとめると以下のようになります。
・ 世界大恐慌の時は回復に25年かかった
・ 個人投資家としては余剰資金で投資をし、できれば現金も準備しておく
景気後退がいつになるか分かりませんが、永久に上がり続ける相場はありません。
株式投資をする以上、いつかは低迷期と向かい合う必要があります。
そういった時に慌てて対応するのではなく、今のうちからコツコツと準備をしておきたいですね。
長期投資は非常に困難ですがともに頑張りましょう。(執筆者:松崎 正義)