不妊治療は、人工授精や体外受精など、保険適用外の治療にステップアップしていくほど、費用が高額になります。
治療で心身ともに消耗していくうえに、費用の負担も重くなっていくので辛いですよね。
私も不妊治療経験者なので、治療費に頭を抱える気持ち、よくわかります。
実は、体外受精など保険適用外の治療費でも、医療費控除の対象になることをご存知でしょうか?
妊活で服用した漢方なども、「医薬品」、「治療目的」ということなら、対象になることが多いですよ。
「治療費の負担に悩んでいる」という方、今まで「医療費控除は使えないと思っていた」方はぜひ、医療費控除を活用してください。
目次
不妊治療で医療費控除を使うための条件
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不妊治療において医療控除を受けるためには、以下の条件があります。
1. 不妊治療費を含めて、世帯内でかかった1年間(1月1日~12月31日)の医療費の合計金額が対象
2. 不妊治療の助成金・生命保険の給付金など各種給付金や助成を差し引いて、負担額が10万円以上*になること
3. 申告する人は、納税者であること
*その年の総所得金額等が200万円未満の納税者は、総所得金額等の5%を超える金額
家族全員の医療費が対象なので、不妊治療費だけで10万円以上である必要はありません。
ただ、不妊治療の助成金を受け取っている場合は、助成金を差し引いたうえで、負担額が10万円超になることが条件です。
体外受精や漢方代も。医療費控除の対象になる不妊治療費
医療費控除の対象になる、おもな不妊治療費を記載します。
・ 不妊治療を行う病院へ通院するときの交通費(公共交通機関のみ。タクシーやガソリン代は対象外)
・ 不妊治療のため、病院で医師から処方された薬の費用
・ タイミング法や他の治療で排卵時期の確認をするために通院したときの治療費
・ 人工授精・体外受精・顕微授精の治療費全般(卵子・精子の凍結保存料や、採卵にかかる費用も含まれる)
・ 不妊治療のためにマッサージ指圧師・鍼師・柔道整復師の治療を受けたときの費用
・ 不妊治療のために購入した漢方薬(「医薬品」に定義されるもの)の費用
冒頭でお伝えしたとおり、費用が高くなりがちな体外受精や顕微授精も対象です。
1年の間に採卵から移植までを複数回行っている方は、治療費が50万円~100万円ほどかかることもあるでしょう。
採卵も移植費用も、不妊治療で病院に払った費用はほとんど対象になります。
私の場合、通院のほかに漢方薬局で漢方を購入し、病院と提携している鍼灸院で針治療を受けていました。
いずれも領収書に治療や医薬品の旨を記載してもらったので、すべて医療費控除の対象にできました。
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還付申告は、1年中いつでも、5年前までさかのぼって申告できる
医療費控除は納税者の治療費と税負担を軽減する制度で、払いすぎた所得税を取り戻す「還付申告」にあたります。
還付申告は確定申告の締め切りとは関係なく、1年中申告できるのがポイントです。
そのため今年2019年の不妊治療費なら、来年1月から申告できます。
また、もし2019年以前にかかった不妊治療費がある場合は、5年前までならさかのぼって申告することが可能です。
いずれにしても、確定申告で税務署が忙しくなる2月~3月を避けて申告するのがおすすめです。
なお、2017年度以降の申告では、医療費控除で領収書を添付する必要はなくなりました。
医療費の領収書から医療費控除の明細書を作成し、申告書に添付するだけなので、とても簡単です。
自宅にパソコンがある方なら、1時間程度で申告書を作成できるのではないでしょうか。
平日に税務署へ行けない方は郵送でも提出できます。
医療控除を受けて、不妊治療の負担を軽くしよう
不妊治療はデリケートな問題なので、周囲にも相談できず、医療費控除などの情報を知らないという方もいると思います。
でも、高額な治療費を支払っているのなら、医療費控除を活用しないともったいないですね。
医療費控除で少しでも多く還付金を受け取って、家計の負担を軽減してください。(執筆者:服部 椿)