老後資金の調達に頭を悩まされる方は少なくありません。
再就職する、節約を徹底するなどいろいろな方法が頭をよぎりますが、ある程度まとまった資金が必要な場合は、「自宅を利用する」という方法があります。
この記事では、その例として
・ リバースモーゲージ
・ リースバック
の2つの方法をご紹介します。
目次
自宅を担保にして資金を調達するリバースモーゲージ

リバースモーゲージは自宅を担保にして、金融機関などから融資を受ける方法です。
融資を受ける金融機関によって多少の違いはありますが、リバースモーゲージで融資を受けると、 自宅のリフォームやレジャー、医療費など、生活に直結した使い方ができます。
融資の返済は、基本的には借り入れた方が亡くなったときに、担保を設定した自宅を売却することによって成立します。
リバースモーゲージのメリット
一定の年齢以上になると融資を受ける際の審査などは、なかなかハードル高くなります。
その点、リバースモーゲージは申し込みができる年齢が55歳や60歳以上からと、年齢がネックで躊躇していた方でも融資を受けられるようになっています。
また後程紹介しますが、リースバックの場合は自宅の所有権が手元から離れてしまう一方、リバースモーゲーの場合は、融資を借り入れた方が自宅を手放すことにはなりません。
利用のうえで気をつけたい3つのこと
と聞くと、とても便利なような気もしますが注意点が3つあります。
注意点1:利用条件が異なる
リバースモーゲージが利用できる地域や物件には違いがあります。
担保として価値のある地域や、戸建てであることなど、金融機関によって利用できる条件が異なります。
注意点2:金利の上昇と不動産価値の下落の危険性が伴う
リバースモーゲージには、金利の上昇と不動産価値の下落の危険性が伴います。
変動金利で融資を受けている場合、金利の上昇局面では、融資を受けている額に対する金利も上昇します。
また、不動産の価値が下落すると、金額によっては担保不動産を売却しても、借入れ金を完済できない可能性が発生します。
注意点3:推定相続人の承諾も必要とする
推定相続人がいる場合は、リバースモーゲージを利用する際、その者の承諾が必要とする金融機関が多いことも注意点です。
もちろん、複数の推定相続人がいれば、全員の承諾が必要ですので一筋縄ではいかないケースもあります。
自宅を売却し、定期建物賃貸借契約を結ぶリースバック

リースバックは自宅を不動産会社に売却することによって資金にし、同時に売主と買主との間で定期建物賃貸借契約を結ぶ方法です。
売主は自宅の所有権を手放してしまうことになりますが、引っ越しなどせず、自宅に住むことができるというメリットがあります。
利用のうえで気をつけたい3つのこと
自宅に住み続けつつ、まとまった資金が用意できるというと一見、いいこと尽くめのようにも思えますが、やはり注意点があります。
注意点1:毎月の家賃が必要
リースバックの場合は、毎月の家賃が必要になります。
家賃の設定にしても自宅を買い取った不動産会社によって違いがありますので、事前にしっかりと確認をしましょう。
注意点2:ずっと住める保証がない
定期建物賃貸借契約なので、ずっと住み続けることができる保証はありません。
契約更新がない場合は、予定外に次の住まいを探す必要が出てきてしまいます。
注意点3:売却額の希望が通りにくい
不動産会社の買い取りなので、自宅の売却額が必ずしも希望通りにはならない可能性があります。
ただ、一旦売却した自宅を買い戻すことも可能ですので、資金繰りの方法などを計画的に考えつつ、リースバックを上手く利用するという考え方もあります。
安心の老後生活のために、利用には入念な事前調査が必須
理解不十分で説明のできないものには手を出さないという心掛けは、老後の生活を上手く過ごしていく上では必ず役立ちます。
リバースモーゲージもリースバックも大変便利なサービスです。
ただし、少しでも不安がある場合は、関係金融機関や不動産会社に内容と要件をしっかりと確認し、納得した上での利用をお勧めします。(執筆者:AFP、2級FP技能士 大川 真理子)