今年10月7日に発表された米国のあるレポートが、経済アナリストの間で注目を集めています。
全米企業エコノミスト協会(NABE)の最新レポートでは、アンケートに答えたアナリストの80%が、今後2年以内の景気減速を予想したと発表したのです。
年末に向けて年初来高値を更新する日本株式相場ですが、景気減速の予兆が次々と現れて、景気実態ではなく、金融政策の成果で引き上げられた株高も最後のひと伸びなのかもしれません。
「景気減速 = 株安」になった場合に取るべき投資手法としての債券投資、その中でも機関投資家も実践するプロの運用手法を紹介します。
来るべき運用難に備えましょう。
目次
手間をかけずにプロの運用手法を実践する

NABEレポートでは、前述の通り2年以内の景気減速を予想したアナリストは80%でした。
うち24%が来年2020年内、69%が2021年中盤を予想したそうです。
2008年のリーマンショックほどの大激震が来るかは分かりませんが、景気減速時に運用成果を発揮する債券投資に関する知識を今から取り入れておくことは大切だと思われます。
そこで、個人投資家でも実践できる運用手法を2つ紹介します。
1. 現物への投資:ラダー型とダンベル型の債券投資
です。
株式と相反する値動きをするため、投資資産のうち一定程度は保有すべき資産クラスですが、銘柄の入替え等の手間をできるだけかけずに管理することが重要です。
債券の発行体リスク(信用リスク)を高格付けに維持することを前提に、
と思われます。
ラダー型ポートフォリオとは

「ラダー」とは、グラフのようにハシゴを横にした形状に見えることからその名が付きました。
同額の投資金額を、短期から長期まで満期の期間を分散させて債券に投資するのです。
ラダー型ポートフォリオの利点
ラダー型ポートフォリオの主な利点は、次のとおりです。
・ 原則的に償還まで保有し、償還ごとに最長期債に再投資する機械的な投資手法のため、金利変動予測や購入タイミングを図る必要がない (相対的に利回りが高く維持される)。
・ 短期債も保有しているため、万が一資金が必要となっても流動性が確保される 。
このように日々のポートフォリオ管理が容易であり、今の投資環境のような金利動向の行方が不透明なタイミングでは有効な手段です。
弱点と言えば、まんべんなく分散投資をするので大きなプラス運用が期待できず、投資効果を出すためには資金が相対的に多くなるということが挙げられます。
やはり景気減速から後退期に移行する環境に投資額を増やし、景気回復局面となった際には縮小する戦略として有効と考えます。
ダンベル型ポートフォリオとは
なお「ダンベル型」と呼ばれる債券投資の手法もあります。
これは短期債と長期債だけを保有するポートフォリオですが、途中売却等の管理が必要となるので、債券投資に不慣れな方にはおすすめしません。
2. 投資信託を使った債券投資
複数の個別債券を購入するには、証券会社に口座開設して管理する必要があります。
しかし、そこまで本格的に取り組まないまでも債券に投資してみたいという方は、銀行または証券会社で債券型の投資信託に取り組んでみましょう。
銘柄の選択や売買の手間、タイミングなどを、信託報酬(保有期間中に支払う費用)を支払う形でお任せできる運用手法です。
そのため、
でしょう。
商品の事例

たとえば、「ニッセイ国内債券インデックスファンド(ニッセイ・アセット・マネジメント)」は、購入・換金時の手数料がなく、保有期間中の費用は0.1331%(信託報酬、監査費用)と低くなっています。
残高が増えたことで信託報酬が引き下げられたファンドの1つであり、直近6か月では+1.15%の運用実績です。
直近3年は+1.56%なので、直近の運用実績が高くなっています。
今の投資環境には適応している証拠ですね。
守りの投資をしたい時期に最適な手法
債券投資は、
です。
保守的ではあるものの、攻めるだけが投資ではない時期に最適な投資手法といえるでしょう。
投資の格言に
というのがあります。
株式投資から債券投資へと徐々にシフトする時期かと思われますので、利益確定できる株式があれば、年内にご検討ください。(執筆者:中野 徹)