今回は、米中貿易戦争がなぜ起こったのか。
過去の歴史を振り返ることで何が主因となっているのかを解説していきたいと思います。

目次
「中国製造2025」とは
2000年での中国のGDP世界シェアは4%、米国が30%と米中には経済的に大きな差が存在し、当時中国は強国とはいえない立ち位置でした。
そこで中国は、「中国製造2025」をロードマップに2025年までの10年間で世界の製造強国入りを果たすためにさまざまな政策を施行したのです。
その中でも以下の2つが中国市場の急拡大の成長ドライバーとなりました 。
1. ハイテク産業の育成
中国は、世界各国の高度技術者を高い賃金を背景に誘致を粛々と進め、世界に通用するハイテク産業の育成を急速に推し進めてきました。
当初は米国もそこまで気にしていませんでしたが、気づけば無視することができないレベルまでその浸食は進んでいたのです。
代表的な例が「ファーウェイ」であり、世界の最新通信規格5Gの導入が進むにつれ、なくてはならない企業の立ち位置を確立したのです。
2. 政府による補助金支援
中国政府は、「中国製造2025」を発表して以降、対象となるハイテク企業に対して金融支援を積極的に行っています。
この産業補助金は、日本や米国のそれと比較できないほど大規模であり、海外企業や技術の買収に充てられているとも指摘されています。
中国のGDP世界シェアが急拡大

これら政策を行ったことで、中国のハイテク産業は急拡大を遂げ2018年にはGDP世界シェアを16%(米国24%)まで急拡大させることに成功し、日本を抜き世界第2位の経済大国となったのです。
この急成長に焦りを抱いた米トランプ大統領は、2018年初頭に中国に対する追加関税発動を決定し米中貿易戦争が勃発したのです。
過去日本が高度経済成長を迎えた1988年には、日本のGDPシェアが16%(米国28%)に急拡大しました。
この時も米国は、プラザ合意による急激な円高で日本の輸出産業にダメージを与えることで急成長を抑えつけたのです。
今後の戦局を正確に見極めよう
以上より、米国が中国に関税を課したのは、中国のGDP世界シェアの急激な拡大がトリガーとなっており、過去の日本が高度経済成長を遂げた際も米国は強烈な圧力をかけ、経済成長を低迷させています。
中国の不公正な過度の補助金が原因で米国の対中貿易赤字が拡大しているなどの報道やニュースをよく目にします。
そもそもの原因がどこにあるのかを正確に把握し、今後の米中貿易戦争の戦局を見極めるよう心掛けましましょう。(執筆者:白鳥 翔一)