2019年1月に発表されました「毎月勤労統計の不適切な取扱い」に関する事項があります。
これは、毎月勤労統計調査をはじめとする厚生労働省が所管する統計で、長年にわたり、不適切な取り扱いをしていたことについて、雇用保険、労災保険等で、多数の方の給付金について、支払い不足の状態となっていたことを示しています。
そこで、厚生労働省では、追加給付が必要な方について、雇用保険の失業時の給付等で追加給付が必要となる時期にさかのぼって、追加給付を実施しています。
現在、対象となる方に対し、「お知らせ」が順次発送されています。
これに対して、この情報を知らない方がこのお知らせを受け取り「振り込め詐欺ではないか?」と疑問に思われ、筆者のところにも多数の問い合わせがきている状況です。

目次
雇用保険関係の対象となる給付
雇用保険関係の追加給付について、どの時期が対象になるのかを見ていきましょう。
いつ支給された雇用保険関係の給付なのか
2004年8月以降に受給された方のうち、一定の条件を満たす方です。
対象となる方(対象となる可能性のある方を含む)に対しては、厚生労働省が把握している住所に、2019年10月末以降に「お知らせ」が順次送付されています。
なお、最近5年間に「育児休業給付」を受給された対象者の方に対しては、2019年8月から「お知らせ」が送付されています。
※追加のお支払いの対象となる方が、約1,900万人に上ることから、「お知らせ」の送付までに数か月かかることもあります。
どの給付が対象か
具体的には、どの給付が対象になるのかを見てみましょう。
対象となり得る給付
・ 基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金
・ 個別延長給付、訓練延長給付、広域延長給付、地域延長給付
・ 傷病手当(雇用保険法によるものに限る)
・ 就業手当、再就職手当、常用就職支度手当、就業促進定着手当
・ 早期就業支援金、早期再就職支援金
・ 教育訓練支援給付金
・ 高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
・ 失業者の退職手当(国家公務員退職手当法)
・ 就職促進手当(労働施策総合推進法) 等
対象とならない給付
・ 技能習得手当(通所手当、受講手当)、寄宿手当
・ 移転費、求職活動支援費(広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費)
・ 教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金
・ 日雇労働求職者給付金
「お知らせ」の内容はどのようなものなのか
「お知らせ」には2種類あります。
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1. 雇用保険の追加給付に関するお知らせとお願い(口座確認)
追加のお支払いの「対象となる方」に送付されているものです。
追加のお支払いの振込先を確認させていただくための「払渡希望金融機関指定・変更届」です。
2. 雇用保険の追加給付に関するお知らせとお願い(ご本人確認)
「対象となる可能性のある方」に送付されているものです。
追加のお支払いの対象かどうかを確認させていただくための「回答票(本人確認)」と、「払渡希望金融機関指定・変更届」です。
「雇用保険の追加給付」を語る詐欺に注意
雇用保険などの追加給付に関して、厚生労働本省、都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所)、労働基準監督署以外から直接お電話や訪問をすることはありません。
厚生労働省、都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所)、労働基準監督署から電話があった場合でも、金融機関の暗証番号を聞くことなどはありませんし、手数料などの金銭を求めることもありません。
不審な電話・訪問があった場合にはご注意ください。
0120-952-807
※専用ダイヤルは、比較的午後がつながりやすい状況です。
<受付時間>
平日:8:30~20:00
土日祝:8:30~17:15
ご不明の点は専用ダイヤルか最寄りのハローワーク(公共職業安定所)までお問い合わせください。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)