年が明けて、確定申告の時期に入ってくる時期になりました。
会社員の方などであれば、確定申告は年末調整で済ませており、普段はあまりしない方も多いかと思います。
ただ、場合によっては確定申告を行うことが必須の場合や、必須でなくても確定申告をした方が減税になるケースもあります。
そこで今回は、普段確定申告をしない方が確定申告を検討する場面について、いつくか書いてみたいと思います。
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目次
医療費等をたくさん支払った場合
1年間に支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えた場合には医療費控除を受けることが可能です。
この金額は、ご自身だけでなく生計を一にする家族全体の医療費で計算します。
ほとんどの健康保険組合は、医療費に関する通知が送られてくるので、これでおおむねの金額を確認できます。
また、平成29年度以降は、通常の医療費控除との選択で、特定一般用医薬品等購入費の合計額のうち、1万2,000円を超える金額(8万8,000円を限度)を控除額とするセルフメディケーション税制もあります。
病院通い等をしてなくても減税制度を利用できる可能性もあるので、合わせて確認してみるとよいでしょう。
住宅ローンを利用している場合
住宅ローン控除は、住宅ローン等を使いマイホームの新築、取得または増改築等をした際に決められた年数間に一定金額が所得控除されるものです。
会社員の方であれば、住宅ローン利用の2年目以降は年末調整にて税金の申告を行うことが可能ですが、初年度は確定申告をすることが必要です。
他の所得控除と違って控除は所得税、住民税から直接引かれるので減税額はとても大きいです。
証券口座をお持ちの場合
証券口座をお持ちの方は「特定口座源泉徴収あり」の口座をお持ちである場合がほとんどだと思います。
その場合、確定申告は原則として不要です。
しかし、場合によっては確定申告をすることを検討した方がよい場合もあります。
そのケースは主に以下の2点です。
他の証券会社での取引と、損益を通算する場合
この場合、差額の20万円分の税金徴収分が確定申告後の還付金として返還されます。
金融商品を売却して得られた譲渡益や保有している間に受け取った配当・分配金などにはNISA等の非課税制度を利用しない場合、所得税・住民税合わせて20%(復興特別所得税は考慮せず)の税金がかかります。
ですので、このケースでは20万円 × 20%でおよそ4万円程度が還付されます。
なお、損益通算は株や投資信託等の譲渡損と譲渡益だけでなく、株式の配当や投資信託の分配金とも合算が可能で、2016年からは公社債の売却益、償還差益、利子とも合算可能です。
損失を翌年以降に繰り越す場合
株式取引等の年間損益合計がマイナスの場合、毎年の確定申告を条件に、その損失の金額を翌年以降3年間にわたって繰り越すことが可能です。
翌年以降の損益がプラスでないと恩恵は受けられませんが、金額もかさんでしまうため、行っておくことを検討してもよいと思います。
注意点
各種証券取引がプラスである場合、確定申告によりそのプラス分が所得として計上されるため、不利益を受ける場面もなくはありません。
例えば、主婦の方であれば、配偶者控除や扶養控除の金額などに影響の出る場合もあります。
ふるさと納税を利用する場合
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普段確定申告を要しない方であり、ふるさと納税での寄付先の自治体が5つ以内であれば、ワンストップ特例制度を利用することで確定申告を不要とすることができます。
ただし、上記等の所得控除を利用する場合には、確定申告が必須になる場合があり、確定申告を行う必要が出てくる場合があります。
また、ワンストップ特例制度の申請期限は翌年1月10日までですので、期限内に手続きができなかった場合も通常通りの確定申告が必要です。
さまざまな機関の無料相談を利用する方法も
普段、確定申告をしない方でもその年の状況によっては確定申告をした方がよいケースもあります。
ただし、確定申告をすることで所得として計上される金額が増え、かえって損をするケースもなくはありません。
確定申告に慣れていない方は、各種相談窓口の利用する方法もありです。
税務署だけでなく市区役所や税理士会等とさまざまな機関が無料相談を行っています。
窓口だけでなく電話で行うこともできますので、ぜひ利用してみてください。(執筆者:佐藤 彰)