「投資用ワンルームマンション」投資をする際に注意したいのが、毎月の管理費・修繕積立金です。
管理費は、掃除など日常の共用部分の管理に使われ、修繕積立金は12年程度の周期で行われる大規模修繕工事のために積み立てられるお金です。
家賃からこの管理費・修繕積立金を引いたものが毎月の手取り金額です。
投資として考えると管理費と修繕積立金は安い方がよいと思うかもしれませんが、管理費・修繕積立金が安いマンションは注意が必要です。

目次
新築時の管理費・修繕積立金はどのように設定されるのか
投資用新築ワンルームマンションの場合、マンションを建設するデベロッパーの関連会社がマンション管理を行うケースが多く、管理費・修繕積立金の設定はデベロッパーの意向が反映される傾向にあります。
デベロッパーは、早く物件を売却してしまいたいので、管理費・修繕積立金はかなり低い設定になっています。
特に、修繕積立金は本来必要な金額の半分以下というケースも多いのです。
一般的にワンルームの場合だと新築時の管理費・修繕積立金の合計は1万前後に設定されており、管理費7割、修繕積立金3割程度になっています。
投資用として購入してもらうこともあり、手取りが多い方が見栄えも良いですし、購入当初の運営を考えると非常にありがたいと思う投資家もいるのではないでしょうか。
しかし、修繕積立金の設定が低いと将来大きなリスクを負うことになります。
修繕積立金が安いと何が問題になるのか
修繕積立金は大規模修繕工事を行うために貯められる積立金です。
多くのマンションでは長期修繕計画を立てて大規模修繕を行いますが、国土交通省のガイドラインでは30年の計画の場合は12年周期で2回と設定されています。
修繕積立金はこの長期修繕計画をもとに決められています。
修繕積立金の徴収方法
積立金の徴収方法には、均等積立方式と段階増額積立方式があります。
均等積立方式の特徴
均等積立方式では、例えば12年後に大規模修繕工事に必要な金額を算出し、それを戸数と期間で均等に割ります。
計画的に資金を集めることが可能ですが、その分毎月の修繕積立金の支払いは高くなります。
段階増額積立方式の特徴
段階増額積立方式では、同様に工事に必要な金額を算出しますが、購入当初は修繕積立金を低く設定し、期間を決めて段階的に値上げをして必要な金額を積み立てます。
購入当初は修繕積立金が低いので資金繰りがしやすいといったメリットはありますが、将来的に金額が上がると支払いが大変になり、中には支払いのできない所有者が出るなど計画通りに資金が集まらないケースも多いのです。
投資用ワンルームマンションの場合には、段階増額積立方式を採用しているケースがほとんどです。
大規模修繕工事が計画的に行われないと、建物の外壁の劣化や防水工事の未実施による水漏れなどが起こり、マンションの資産価値が低下します。

購入時には重要事項調査報告書を必ずチェック
投資用で収益を期待して購入したのに、資産が目減りしてしまうような物件だと将来大変です。
そのため、投資用ワンルームマンションを購入する際には、
必要があります。
管理費・修繕積立金の金額や今後の値上げ、長期修繕計画の有無など、マンションについての情報は、マンション管理会社が発行する重要事項調査報告書に記載されています。
購入の前には必ずこの重要事項調査報告書をよく読み、管理費・修繕積立金はもちろん、大規模修繕計画の実施状況などを確認したうえで購入しましょう。
マンションは管理を買えとよく言われますが、きちんとチェックすることで将来資産価値を維持できる物件の購入が出来ます。(執筆者:山口 智也)