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離婚しても先妻との間の子の相続権はなくなりません
残された妻(現在)、先妻の子および現在の妻の子の場合で考えてみましょう。
相続が発生して初めて気づくことが多いのですが、まず相続人の確認作業が大変です。
相続人の第1順位は配偶者と子です。
配偶者は、死亡時の配偶者ですので故人の現在の戸籍謄本で確認できます。
当然ですが、先妻は相続人にはなれませんが、先妻と故人との間に生まれた子は相続人となります。
その確認は戸籍で行います。
以降で確認の手順を見ていきましょう。
手順1. 残された子が故人の出生から死亡までの戸籍を取得する
子の1人であれば、
・ 故人との親子関係を確認できる自分の戸籍
を提示すれば、故人の出生から死亡までの戸籍は入手でき、先妻の子の確認もできます。
先妻の子が結婚等でその戸籍から出ている場合には、さらに戸籍を追うことになります。
市役所等にて
と言えば、丁寧に教えてくれます。
手順2. 住所の調査
相続人を確認したら、次に本人の連絡先と住所の調査です。
と説明すれば、入手できます。
戸籍の附票には住所が、記載されています。
そこで、まず先妻の子にお手紙を出し、実父の相続が発生したことの連絡をまず行います。
ところが、手紙を送っても反応がない場合があります。

手順3. 連絡のつかない相続人を探す
相続人に1人でも連絡がつかないと相続手続きは完了しません。
このような時に実は使えるのが「失踪宣告」です。
行方不明者の生死が7年以上明らかでない場合に裁判所へ申し立てすると、裁判所にて調査し、死亡宣告をしてくれる制度です。
筆者の体験ですが、収監されている方の場合には所在が判明しやすいと言えます。
また、海外にいる場合には、外務省と連携して居場所を教えてくれたりもします。
手順4. 相続人全員の合意を得る
相続手続きを完了させるには、相続人全員の遺産についての合意が必要です。
全員の合意ができればどのような分け方でもよいのですが、もめてしまうと法定割合になります。
今回のケースのように同じ血ではない(母が違う)相続の場合には、お互いの思いの違いもあり、相続人の間でも悩むところです。
先妻の子が故人(父)から、十分な養育費や愛情を注がれていたかどうかによっても思いは違ってきます。
いずれにしても、事情を作り出した当人は、残された子と配偶所のためにも人生の締めくくりとして遺言書を作成することをおすすめします。
離れ離れになった子に人生最後に思いを伝える
事情があり、ずっと会っていない子がいる場合、1度はあってみるのも終活のひとつではないかと筆者は思います。
もちろんその子が会うことを望まないのであれば、素直に事実を受けいれるのも大切かと思います。
遺言書は、自分ではなく残された人に対する思いやりで作るものです。(執筆者:橋本 玄也)