今回は、世界的な金利低下を受け上昇を続けるJ-REITの、今後押さえておくべきポイントについて解説していきたいと思います。
目次
上昇を続ける東証REIT指数

東証REIT指数とは、上場している全てのJ-REIT(不動産投資信託)を対象とした時価総額の加重平均指数です。
米中貿易戦争による世界同時株安と金利低下を受け、過去数年間抜けることができなかった2,000ポイントの節目を突破し、12年ぶりの高値水準である2,250ポイントまで上昇しました。
次に意識されるのが、2007年に付けた約2,600ポイントの節目ですが、オリンピックが近づいてきていることから、その後の変動に注意する必要性が増してきています。
REITの上昇要因
REITの上昇要因は主に2つあります。
1. 世界的な金利低下
REITは利回り商品であるため、世界各国の金利動向にその価値は大きく左右されます。
金利上昇局面では、安定資産とされる国債などの利回りが上昇するためそちらへ切り替える動きが出やすくなることから、金利上昇はREITにとって下落要因となってしまいます。
しかし、現在は世界的な金利低下が起きているためREITにとって良好な環境が整っていることから上昇に大きく寄与しています。
2. 不動産価値の値上がりによる収益性改善
REITの価格上昇要因として利回り以上に重要となるのが、保有する不動産の値上がりによる収益です。
利回りは大きく上昇することは難しいですが、値上がり益は短期的な収益につながるため、その動向に単価は大きく左右されます。
J-REITはオリンピック効果による不動産価格上昇の影響を受けているため、各国REITの分配原資が大きく目減りしているにもかかわらず、J-REITの原資は潤沢となっています。
これが多くの投資家の注目を集める結果に結びついています。
REITの今後の展望

REITの今後については、次の点に注意が必要です。
注視ポイント1:各国金利上昇局面
前述にあるように、金利上昇局面にREITは弱いため、政策金利の変更に注意しておく必要があります。
特に注意しなければいけないのが米国の金利動向です。
これを基準として各国金利が変動するためその変化には注意が必要でしょう。
さらに、新興国の金利動向にも注意しておく必要があります。
新興国は、米国の金利変更に最も敏感であるため、本格的な上昇局面ではためらわず金利を引き上げてきます。
先日ブラジルの政策金利は過去最低の4.5%まで引き下げられました。
これは、今後の米国の金利上昇局面をにらんで中銀がいつでも金利を引き上げられるように政策金利を今のうちに引き下げていることが要因となっています。
現状はすぐに米国金利が上昇する局面ではなく、各国利下げに動いているため様子見姿勢でいいですが、その変化には敏感になっておく必要があります。
注視ポイント2:不動産価格の変動に注意
現在の日本のREITは不動産価格の上昇による値上がりが全体の上昇要因となっているため、不動産価格の変動には注意しておいた方がいいでしょう。
ここで重要となってくるのが東京の不動産価格の変動であり、これはネットで市況を確認するだけでなく、不動産関連銘柄の決算情報をもとにその変化を慎重に見極めることが重要です。
変化を読み解けるよう注視が必要
以上より、現在上昇を続けているREIT指数ですが、その下落タイミングを予測するためにも、米国だけではなく新興国の政策金利動向にまで注視しておくことが重要となります。
また、不動産価格の変動も紙面やネットで東京の不動産価格がどのように変動しているのかを確認するだけではなく、各不動産関連銘柄の決算情報からその変化を読み解くように心がけましょう。(執筆者:白鳥 翔一)