スマホを読取機にかざして改札を通過する姿は、非常にスマートです。
ただし、現時点でそれが可能なのはJRだけで、PASMOは物理カードを発行する必要があるためスマホだけでは改札を通れません。
それでもモバイルSuicaへの対抗意識から、スマホケースにPASMO定期券を忍ばせ改札にタッチする「なんちゃってモバイルPASMO」を実践している人もいるでしょう。
しかし、2020年春からそんな涙ぐましい努力をしなくても、「モバイルPASMO」をダウンロードすればOKです。
今回は、現時点で分かっている情報をもとに、メリットとデメリットを紹介しましょう。
目次
2020年春、「モバイルPASMO」が始まります

交通系IC「PASMO」を運営するPASMO評議会は、AndroidスマートフォンでPASMOのサービスが使える「モバイルPASMO」を、2020年春に開始すると発表しました。
PASMOは関東地方の私鉄などを中心に利用されている交通系ICで、SuicaはJR東日本の交通系ICです。
関西地方に置き換えると、PASMOがPiTaPa、SuicaはICOCAのような関係です。
いつでもどこでもクレジットカードからチャージができる
モバイルPASMOのメリット、その1つが場所を選ばずクレジットカードでのチャージができる点です。

現在、クレジットカードからPASMOにチャージする方法は、
・ クイックチャージ(自動券売機などに対象クレジットカードと対象のPASMOを挿入して指定金額をチャージ)
の2種類がありますが、いずれも改札か自動券売機に足を運ばないとクレジットチャージができません。
北海道でも九州でもPASMOは利用可能ですが、北海道や九州の券売機ではクレジットチャージできず、改札のオートチャージも不可です。
しかし、モバイルPASMOならばスマホを操作して、いつでもどこからでもクレジットカードからPASMOにチャージができます。
いつでもどこでもPASMO定期券の購入ができる
そして、PASMO定期券ユーザーにとって、スマホからPASMO定期券を購入できる点もうれしいです。

PASMO区間とJR東日本区間を連絡定期券で利用している人は、モバイルSuica定期券が利用可能ですが、PASMO区間のみの定期券区間の場合はモバイルSuica定期券を利用できません。
また、毎年3月末~4月上旬は定期券の新規・継続利用者が多く、窓口や自動券売機が混雑します。
モバイルPASMO定期券が実現すれば、窓口や自動券売機の混雑を横目にPASMO定期券の購入ができますし、「なんちゃってモバイルPASMO」の引け目を感じることなく改札を通過できます。
紛失・故障時も窓口等に行かずに再発行手続きができる

万が一、故障や紛失などでPASMOが使えなくなっても、モバイルPASMOならば窓口に行くことなく再発行手続きできます。
これまでのPASMOが紛失・故障の被害に遭った場合は、以下のような手順で再発行しなければなりませんでした。
2. 係員から再発行整理票を受け取る
3. PASMO・Suicaエリアの駅やバス営業所などに行き、再発行整理票を係員に渡してから再発行手続き・手数料を支払う
申請時・再発行時の2回、窓口などに行かなければなりません。
一方、モバイルPASMOは物理カードがないため、紛失・故障時の対応もスマホで手続きすればOKです。
ポイントプログラムも拡充されるかも
JR東日本のポイント「JRE POINT」では、鉄道乗車でポイントが貯まる実施をしており、モバイルSuica利用者はカードタイプのSuica利用者より還元率が高く設定されています。
首都圏の私鉄の中にも、鉄道乗車でポイントが貯まるところがありますが、それについては以下の記事をご覧ください。
JR東日本にならい、モバイルPASMO利用者はポイント還元率がアップするかもしれません。
モバイルPASMOの注意点
現時点でははっきりしていませんが、モバイルPASMOには以下のような注意点が考えられます。
現時点ではAndroid端末のみ対応
現時点で、モバイルPASMOが対応するのはAndroid端末のみで、iPhone端末には対応しません。
さらに、購入時にAndroid6.0以上がインストールされたおサイフケータイ対応端末である必要があります。
しばらくすればiPhone端末にも対応するでしょうが、それまでiPhoneユーザーは我慢です。
モバイルPASMO定期券を発売する場所は限定されている
「モバイルPASMO定期券」はモバイルPASMOの大きな魅力ですが、PASMOを採用している全ての交通事業者で発売するわけではありません。
ちなみに、モバイルPASMO定期券の発売を予定している事業者は、以下の通りです。

鉄道でしたら伊豆箱根鉄道(大雄山線)・関東鉄道・箱根登山鉄道、バスでは山梨交通などでは、現時点でモバイルPASMO定期券の発売予定がありませんので、注意しましょう。
モバイルPASMOにチャージできるクレカは限定的
また、モバイルPASMOにチャージできるクレジットカードは、数が多くありません。
現時点では、PASMOを採用している交通事業者系列のクレジットカードのみチャージ可能です。

その点、Suicaは楽天ペイと連携して、2020年春をめどに楽天ペイアプリ内でSuicaを発行、楽天カードからのチャージも可能になるなど、クレカの選択肢がさらに広がっています。
スマホ内でモバイルSuicaとの共存は可能か
スマホですでにモバイルSuicaを利用している人にとっては、「新たにモバイルPASMOをインストールしたらモバイルSuicaと共存できないのでは」という疑問も残ります。
パスケースにSuicaカードとPASMOカードを入れた状態で改札をくぐろうとしてエラーが出た、という例もあり、複数の交通系ICカードが干渉しないようなパスケースも販売されているくらいです。
モバイルPASMOを利用する場合は、モバイルSuicaをスマホから削除する必要性が出てくるかもしれません。
詳細は2020年3月初旬に発表予定
モバイルSuicaから遅れること10年以上、ようやく「モバイルPASMO」が始まります。
特に、PASMO定期券ユーザーにとっては朗報かもしれません。
スマホがあれば、いつでもどこからでもチャージや定期券購入が可能なのは、モバイルSuica定期券と変わりありません。
ただし、現時点ではAndroid端末のみ、モバイルPASMO定期券を販売しない事業者もあるなど、注意点もあります。
詳細は2020年3月初旬に発表予定なので、それから行動しても遅くはありません。
詳細が発表されましたら、あらためて紹介できればと思います。(執筆者:角野 達仁)