2018年に経済産業省が企業や社会人に対して行った理工系人材需給状況の調査結果では、技術者が不足するとのことです。
IoTやAIなどの情報系を中心に、理系人材の価値が高まっています。
理系大学に進学した学生はさらに理系人材として価値を向上させるために、大学院への進学を考える人が多くなっています。
目次
理系大学院の授業料

学費には入学金や授業料、私立の場合は施設維持費などがあります。
国立理系大学院と都内の理系単科大学である東京理科大と芝浦工業大を例に2年間でかかる学費をまとめました。

国立大学院は2年間で136万円ほどです。
理系私立は220~250万円で、国立大学院よりも100万円以上高いです。
東京理科大学院は、専攻(学部生でいう学部のこと)によって、授業料が違います。
実験が多い専攻ほど授業料が高く設定されているようです。
また芝浦工業大学院の入学金は、芝浦工業大学から大学院へ進学する時は支払う必要はありません。
学費以外にかかるお金
授業料は少し調べればわかるのですが、それ以外にかかるお金があります。
学部生と異なる、必要な費用が2つあります。
1. 資料・書籍代
大学院を卒業するためには修士論文を提出しなければなりません。
修士論文とは、修士課程の研究の成果をまとめた論文です。
この修士論文を書くためには、膨大な資料を読み込む必要があります。
古い資料を読むために国立国会図書館に通い、資料をコピーしたり、まだ翻訳されていない英語の専門書を購入したりとお金がかかります。
もちろん専攻によって違いますが、私の場合(建築系)は年間20万円ほど書籍や資料の印刷にお金を使いました。
2. パソコン・タブレット代
パソコンやタブレットなど電子機器も必要です。
理系になると計算やモデリングなど専門的なソフトを使用することがあります。
専門的なソフトを使うには、高性能なパソコンが必要です。
私の場合は20万円のパソコンを買いました。
タブレットは講義の資料を読んだり、論文を読んだりするときに使用しました。
大学院生は膨大な資料を読み込むと先ほど説明しました。
全ての資料を紙に印刷するのはお金の無駄なので、PDFになっている資料はデータで読みます。
もちろんパソコンでも読むことは可能ですが、タブレットがあると便利でした。
タブレットは5万円のものを私は使っていました。
理系大学院2年間の費用総額は300万円以上
授業料以外で60~70万円ほどかかります。
私立の授業料を合わせると、300万円以上大学院を卒業するまでにかかります。
もちろんこれ以外に食費や交通費、一人暮らしであれば家賃などもかかります。
大学院生自身が働いて学費を稼ぐこともできる

と相談されたことがあります。
私は全てを家計から支出する必要はないと考えています。
なぜなら、大学院生はそれなりに稼ぐことができるからです。
ここからは私個人の経験になりますが、大学院生のバイト事情を説明します。
専門職でアルバイト
まず大学院生1年目はバイトができます。
バイトも居酒屋やコンビニなどではなく、より専門的なバイトができます。
私の場合は住宅図面の修正や資料作成を自宅でやっていました。
月に5~15万円ほどの収入でした。
時給にすると2,200円くらいだったと記憶しています。
TA制度を使う
また大学にはTA(ティーチングアシスタント)という制度があります。
ティーチングアシスタントとは、大学院生が学部生の講義に参加して教授や講師の手伝いをして、講義の質を向上させるお手伝いをすることです。
もちろん大学側から手当てが支給されます。
担当する講義数にもよりますが、私の場合は月に3~5万円くらいの収入になっていました。
個人の経験がベースになりますが、大学院進学を考える際の参考になればと思います。(執筆者:FP2級、一級建築施工管理技士 田中 かな太)