「メルペイがOrigami Payを吸収合併」という衝撃的なニュースが飛び込んできました。
2019年は「キャッシュレス元年」とも呼ばれ、雨後のたけのこのごとく数多くの「〇〇ペイ」が登場したのは、記憶に新しいところです。
2020年は〇〇ペイが淘汰される時代に突入するのかもしれません。
この記事では、今回のニュースを詳細に解説するとともに、今後の〇〇ペイの行方も大胆に予想したいと思います。
目次
Origami Payが消滅、メルペイに統合

2020年1月23日、株式会社メルペイが株式会社Origamiの全株式を取得することにより、Origamiがメルカリグループに参画することとなりました。
Origami Payについては、一定の周知期間をおいた後にメルペイに統合される予定です。
独自性にあふれていたOrigami Pay

Origami Payといえば、ポイント還元でなく即時値引という、分かりやすい独自のお得戦略をとってきました。
過去には半額クーポンも配布しており、お世話になった方も多いのではないでしょうか。
また、信金中金との提携関係を締結しているのも、Origami Payの独自路線です。
ただし、2016年12月期の営業利益が6億9,800万円の赤字なのに対して、2018年12月期の営業利益は25億4,400円の赤字と赤字幅が拡大していることから、経営状態はラクではなかったのでしょう。
メルペイは信金中金の幅広いネットワークを欲したか

株式会社Origamiが決済事業の専業業者だったのに対して、メルカリグループはフリマアプリ「メルカリ」を有しており、Origamiよりは幾分余裕があると思われます。
正直なところ、Origami Payを統合してもメルペイにスケールメリットはさほどありません。
それにもかかわらずメルペイがOrigamiの買収に踏み切ったのは、信金中金の幅広いネットワークが魅力的だったのかもしれません。

これまでも、メルペイは巣鴨地蔵通り商店街をジャックし、キャンペーンや講座などを実施するなど、幅広い世代の顧客獲得を目指してきました。
信金中金が抱える幅広い顧客を取り込むべく、今後は信金中金を介したメルペイの地域イベントやメルカリ教室などを展開する予定です。
「メルペイ × Origami」以外にも〇〇ペイに動きが見られる
近年、メルペイやOrigami Pay以外の〇〇ペイにも、動きが見られます。
PayPayとLINE Payが統合か

2019年11月18日、PayPayの親会社であるZホールディングス株式会社とLINE Payをグループに持つLINE株式会社は、経営統合に関して基本的に合意しました。
現在のところ、両社の各ブランドについては変更はなく、経営統合後のPayPayとLINE Payの取扱については発表がなされていません。
しかし、人財・投資額において大幅な効率化が見込まれ、「もしかしたらPayPayとLINE Payが統合」という可能性もあります。
スマホ決済の連合が解消
LINE・メルカリ・ドコモ・KDDIはスマホ決済に関するアライアンス(連合)「Mobile Payment Alliance(モパ)」を結んでいました。
しかし、ヤフーとLINEの経営統合が決まったことを受け、2019年12月にモパは解散となっています。
メルペイは本来、LINEとの連携を模索していたようですが、袖にされた格好のメルペイはOrigamiの完全子会社に打って出たのでしょう。
au PAY利用で貯まるポイントが「Pontaポイント」に変更

KDDI・三菱商事・ロイヤリティマーケティング(三菱商事の関連会社でPontaの運営元)・ローソンの4社は新たな取り組みに合意しました。
au PAYに関する主な合意内容は、以下の通りです。
・ Pontaアプリにau PAY機能を搭載
・ au WALLETアプリにデジタルpontaカード機能を搭載
・ ローソンアプリにau PAY機能を搭載
・ ローソンでのau PAY利用を促進
au PAY利用で貯まるポイントがPontaポイントになることで、貯まったポイントの使い道がより広がります。
ローソンでau PAYを使うと高還元になることも期待できそうです。
今後の〇〇ペイはどうなるか、大予想
ここでは以上の状況を踏まえた上で、今後の〇〇ペイはどうなるのかを考えたいと思います。
スマホ決済利用率はPayPay+LINE Payで全体の4割弱

まず、MMD研究所が発表した調査結果(18歳~69歳の男女3万7,040人を対象に2019年8月9日~8月18日の期間実施)を紹介しましょう。
調査の結果、最も利用されているスマホ決済はPayPayで26.7%、2位のLINE Pay(12.1%)にダブルスコアの差をつけています。
3位は楽天ペイの11.6%、4位はd払いの10.1%です。
PayPayとLINE Payが統合ともなれば、スマホ決済全体の40%弱を占めることとなり、一強状態となります。
楽天ペイ+ au PAYでは合計14.9%、メルペイ+ Origamiに至っては2.4%に過ぎません。
〇〇ペイの今後は通信系が主役に?
次に、主な○○ペイの相関関係を振り返ってみましょう。
・ LINE Pay:旧モパ。PayPayと統合か
・ メルペイ:旧モパ。Origamiを子会社化しメルペイに統合
・ Origami Pay:メルペイに吸収。消滅予定
・ d払い:旧モパ
・ au PAY:旧モパ。Pontaと提携。楽天ペイと加盟店相互開放
・ 楽天ペイ:au PAYと加盟店相互開放
現在、〇〇ペイのキャンペーンは通信系を中心に行われており、通信事業の収入が大きい通信系は〇〇ペイで大規模なキャンペーンを打つ余力が十分で、今後の中心的役割となるでしょう。
LINE Payは単独でもかなりの強さですが、通信系のPayPayと連合することで資金投入の効率化を図れるでしょう。
ともに通信系であるau PAYと楽天ペイは、加盟店の相互開放を行っています。
au PAYはPontaと手を組むことで、貯まったポイントも非常に魅力的になるでしょう。
メルペイはd払いと組むか
Origami Payを子会社化したメルペイですが、上記と比較すると経営体力に若干の不安があり、生き残りが難しくなります。
旧モパで提携をもくろんでいたLINE PayはPayPayと経営統合したので、残された可能性としては「d払い」との提携関係です。
d払いはキャンペーンやdカードとの連携の点で優れていますが、いかんせん加盟店が多くありません。
メルペイ × Origamiの加盟店数、メルカリユーザ―数は、d払いにとって魅力的に映るかもしれません。
2020年は利用者もスマホ決済の取捨選択が必要に
2019年はスマホ決済元年と呼ばれ、各社大規模なキャンペーンを打ち出してきました。
翻って、2020年は選択と淘汰の時代に突入するでしょう。
これまで、スマホ決済のアプリを入れるだけ入れていたユーザーも、統合や消滅などによりこれまでのスマホ決済アプリが使えなくなる、統合後のアプリに勝手に移行されるということがあるかもしれません。
動向を注視し、不要なスマホ決済アプリは削除するのもいいかもしれません。(執筆者:角野 達仁)