「やってて良かった公文式」のCMでおなじみの日本公文教育研究会がフランチャイズ展開する学習塾「公文式」、筆者もその卒業生の1人です。
「公文式」の全教科合計学習者数は、2019年10月現在日本国内で154万人(※1)で、小学生の子供を通わせたいと考える親も多いのではないでしょうか。
公文式卒業生ならではの視点で、公文式と中学受験について解説します。
出典:(※1)公文式公式サイト「教育事業関連データ」
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目次
「公文式」は独自の学習方法
公文式の学習方法は、他の学習塾や通信教材とは異なり独特の理念に基いた学習法です。
KUMONは、できるだけ人生の早い時期に、「自学自習で高校教材」を学習する力を身につけることが、子ども達にとって、「最も役に立つ」と考えています。
公文式は「先取り学習」の有効性を掲げているため、基本的に学校の教科書は無視して学習を進めます。
公文式学習のメリット:つまずきのある子供が先取り学習に到達する
公文式では入会した時点で教科ごとの理解度をテスト行い、教科書の進度にとらわれず、本人が十分に理解しているレベルからプリント学習を始めます。
子供の理解度によっては、小学3年生が1学年下の2年生相当の教材からスタートすることもあります。
筆者もそうでした。
学校の勉強内容で既ににつまずき、苦手意識のある子供にとって、
だといえます。
公文式では大量のプリントを使った反復学習により、子供の学力の向上にあわせた段階的なレベルアップを図っていきます。
学校の教科書で習っている内容とは全くリンクしない進捗状況になるので、子供のやる気次第では1学年以上先の内容を「先取り学習」することも珍しくはありません。
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筆者は、入会当初は1学年下の学習内容からスタートしましたが、1年程度で学年相当レベルを追い越して「先取り学習」の状態に入りました。
数学では、小学6年生時点で中学2年生相当の教材を進めていました。
このような公文生は決して珍しくはありません。
公文式学習のデメリット:中学受験には向かない
公文式の「先取り学習」は、子供に自信をつけさせる良い学習方法です。
しかし、中学受験の際には公文式だけでは不利になると言わざるを得ません。
中学受験の算数はあくまで「小学校までの学習内容で解くこと」が前提となっています。
公文式の先取り学習で得た中学・高校相当の学力を使って受験問題の算数を解いてはいけない、ようするに「難しい問題でもX・Yを使ってはいけない」のです。
ここは大きな落とし穴で、答えを導く途中の式まで書かせる場合、X・Yを使って計算していると減点になり得ます。
子供自身が受験用算数に頭を切り替えて問題を解けるのならばよいのですが、そもそも頭を切り替えさせるような負荷をかけるのはどうなのか、という視点も必要です。
受験用学習塾にはノウハウがある
中学受験には、学校ごとの入試問題の傾向と対策や、面接のノウハウなども必要です。
それらは、中学受験に強い学習塾に行かないと手に入らない情報です。
結果として、中学受験の準備期間には
の選択を迫られます。
「公文式」と「日能研」の費用
参考までに、「公文式」と学習塾大手「日能研」の費用を見てみましょう。
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公文式では入会金・教材費が不要です。
小学5年生が国語・算数の2教科で東京都内の教室に通う場合、
です。
日能研では入会金が2万2,000円かかります。
小学5年生が国語・算数の2教科で教室に通う場合、月謝は1万9,228円です。
さらに、教材費と育成テスト・模試が別料金になっています。
仮に、公文式と日能研のダブル通塾をした場合には、
です。
中学受験を控える家庭では小学4年生から受験用学習塾を考える家庭もありますので、
の月謝と教材費、さらに、年に複数回あるテストや模試の費用も想定しておく必要があります。
公文式は中学入学後に役立つ
筆者は中学1年生の途中で公文式を退会しましたが、退会までに中学3年生相当の内容を「先取り学習」していました。
そのお陰で、私立中学の進度の早い学習内容にも臆せずついていけたことは「やってて良かった」点だといえます。
一方で、小学校高学年ではダブル通塾を味わい、公文式の宿題と学習塾の宿題で余裕のない日々を過ごしました。
受験準備期間にいったん公文式を退会し、受験後に再開する子供もいるようです。
子供の学習到達度や中学受験の有無にあわせて、公文式を利用するかどうか決めてください。(執筆者:2級FP技能士 久慈 桃子)