2020年は年初からブラックスワン、つまり事前予想ができずめったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象が2羽も訪れました。
中東紛争・新型コロナウイルスによって、実態経済とかけ離れた相場変動にプロも右往左往する正にジェットコースター相場に襲われましたよね。
今年は米国大統領選挙の年であり、もともと相場変動が予想されていましたが、世界景気に左右されず、企業業績を見て長期保有できる銘柄はないものでしょうか。
そこで投資の面では、良い意味で「景気に鈍感な銘柄」に注目が集まっています。
その景気鈍感株の特徴と、おすすめ銘柄をご紹介していきます。
目次
景気鈍感株とは

景気鈍感株とは、日本を代表する株式指数である日経平均225やTOPIXの値動きとの連動性が小さい(感応度が低い)銘柄を指します。
この感応度を計る指数がベータ値です。
ベータ値とは
ベータ値は個別銘柄の値動きを、指数(TOPIXなど)の値動きで除して算出します。
ベータ値は1.0が連動、低くなればなるほど連動性(感応度)が低くなります。
具体的には次の通りです。
銘柄AのTOPIXに対するベータ値: 0.6の場合
→ TOPIXが + 2%(上昇)なら、銘柄Aは + 1.2%(上昇)
【値下がりのケース】
銘柄AのTOPIXに対するベータ値: 0.6の場合
→ TOPIXが – 2%(下落)なら、銘柄Aは – 1.2%(下落)
「野村日本株低ベータ・セレクト50」のリターンや標準偏差を確認
低ベータ値の銘柄だけを集めたインデックスが、野村日本株低ベータ・セレクト50(pdf)として2001年から公表されています。
この野村日本株低ベータ・セレクト50は、TOPIX・円ドル為替などに対する感応度(ベータ値)が低い50銘柄を選んでいます。
2000年1月~2019年末までの平均リターンや標準偏差は次の通りです。

上記の表から、
・ 変動の大きさを表す標準偏差が低い値動き
であることがわかります。
景気鈍感株のメリット

景気鈍感株への投資は、下げづらく、急上昇の可能性も低く、長期投資に向いている手法です。
また相場の波に合わせて銘柄入替えをすることが投資の醍醐味ではありますが、長期投資を目指す銘柄も一部保有しておくことで、投資パフォーマンスは安定します。
景気停滞が懸念されるこの時期は、負けない投資を目指すうえで株式投資の中でも特徴が異なる銘柄を選択する必要が出てきます。
景気鈍感株の事業内容
景気鈍感株の事業内容は、主に次の3つです。
1. 世界経済の影響を受けにくい事業
国内販売中心で、警備会社やセキュリティソフト開発、英会話事業などがあてはまります。
2. 不況でも需要がある事業
不況でも日々生活に欠かせない食料品や衣料、医薬品メーカーなどです。
3. ストック収益が期待できる事業
電気・ガス・水道・鉄道・通信を始めとしたインフラ事業などがあげられます。
この景気鈍感株に対し、輸出や海外生産が多い自動車メーカーや素材メーカーなどは、景気敏感株と呼ばれ、逆に感応度は高くなります。
景気鈍感株のおすすめ銘柄
では景気鈍感株のうち、注目すべき銘柄を3業種からご紹介します。
ここでは2019年12月末時点で、
・ 年初来高値から下がっており値上がりの期待感がある
という東証一部の銘柄を選びました。
カッコ内の数値はベータ値です。
陸運業
【1566】京王電鉄(0.253)
【1551】近鉄グループHD(0.311)
食料品
【1535】森永製菓(0.378)
【1473】キーコーヒー(0.493)
【1525】明治HD(0.404)
医薬品
【1407】中外製薬(0.583)
株価相場がピークになったときが買い時
景気鈍感株はディフェンシブ株とも呼ばれ、株価が上昇する局面では売られ、下落局面では買われる値動きをします。
よって株式相場がピークになるあたりで買うことが、投資成功の秘訣です。
株式相場が高値で買うことには勇気が要りますが、この景気鈍感株への投資を成功させるポイントなのです。
今年は前半で株式相場のピークが来ると予想しています。
そのピークが来るまでに、注目する銘柄を選んでおき、買うタイミングを計っておきましょう。(執筆者:中野 徹)
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