住宅ローン控除の対象になっている方は、初年度は確定申告後に還付を受けますが、それ以降は会社の年末調整で還付を受けられます。
年収500万円程度の方々からは、還付されると言っても還付額が少ないという話を聞きます。
2007年の国と地方の税源移譲により、ほとんどの人は納付すべき所得税が減り、住民税が増えているので、還付される所得税額も減っています。
しかし、住宅ローン控除では、このような不公平を是正するため、
を導入しています。
今回は、具体的な事例を交え、どの程度の減税額になっているのか、解説したいと思います。
年収500万円の人が住宅ローン控除20万円を利用した場合
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では、具体的に試算していきたいと思います。
対象者は
・ 妻は専業主婦
・ 2018年に住宅を購入
・ 年末の住宅ローン控除額は20万円
とします。
まず、上記の方の税金を試算すると、所得税は約10万円、住民税は約20万円です。
この場合、住宅ローン控除額20万円から所得税額約10万円を差し引くと、納付した所得税額約10万円では引ききれず、まだ枠が約10万円残っていることがわかります。
確かに、納付した所得税額約10万円だけが還付されても、還付額が少ないと感じるかもしれませんし、枠も使い切れていません。
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そこで、財務省ではこのような不公平に配慮し、残りの枠を住民税からも差し引けるように改正しました。
所得税の課税所得の5%で9万7,500円が限度
・ 2014年4月~2021年12月までに住宅を購入し居住した場合
所得税の課税所得の7%で13万6,500円が限度
所得税の課税所得は約200万円ですので、7%を掛けると14万円ですが、上限として13万6,500円と定められており、枠は10万円しか残っていないので、住民税からは10万円を控除できます。
そうすると
= 合計納税額 約30万円
・住宅ローン控除額が20万円ある場合:「所得税 0円」 + 「住民税 約10万円」
= 合計納税額 約10万円
住民税約20万円から住宅ローン控除額10万円を差し引き、最終的な住民税額は約10万円です。
住宅ローン控除は住民税減税にも注目
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所得税が高かった時は、年末調整の還付額も確かに高額でした。
しかし、住宅ローン控除額が20万円の場合、所得税だけで完結する方は年収700万円以上に限定されます。
結果的に、還付額が少ないと感じがちですが、上記の事例でもわかるように、住民税も控除対象としたことで、枠はきっちりと使い切れています。
これから住宅ローン控除を利用する方は、住民税減税のメリットにも着目すると、満足度が高まるのではないでしょうか。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)