新型コロナウイルスが、世界的に猛威を振るっています。
私は病気の専門家ではないので、新型コロナウイルスにどう対処するのかはその道の専門家の方に解説していただくとして、今回の新型コロナウイルスが、社会にどんな影響を与えることになりそうかということを考えてみましょう。
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今の時点では新型コロナウイルスが、バンデミック(広範囲に及ぶ流行病)になるかどうかはわかりませんが、仮にこうした状況になるとすれば、直近の経済には大打撃を及ぼします。
特に、資本力がなく自転車操業で運営している旅館業や旅行業などは、
と言われています。
消費税引き上げのダメージで、昨年の10~12月のGDPは、年率でマイナス6.3%でした。
けれど、ここには新型コロナウイルスの影響は織り込まれていませんから、今年1~3月の新型コロナウイルスの被害が織り込まれたGDPが出ると、目も当てられない数字になることが予想されます。
これに対して、政府も、日本政策金融公庫などを介して低利融資をしていますが、資本力が弱い中小零細企業にとっては、収束まで厳しい状況は、倒産と背中合わせになりそうです。
目次
100年に1度の「パンデミック」は社会を変えている
今の新型コロナウイルスがパンデミックになると、社会の様相も変わってくることが予想されます。
実は、世界的なパンデミックは、ほぼ100年に1度起きています。
1918年「スペイン風邪」の大流行
今から100年前は「スペイン風邪」が大流行しました。
1918年から19年にかけて流行し、当時の世界の人口約16億人のうち、5億人が感染したと言われています。
人類の3分の1がこの病に感染し、世界で約5,000万人から1億人が死亡しています。
「スペイン風邪」は、致死率10~20%にもなり、日本でもこの感染症で39万人が死亡しています。
当時ヨーロッパは、第一次世界大戦の真っただ中だったのですが、「スペイン風邪」流行したことで、戦争が早期に終結したと言われています。
1820年「コレラ」の大流行
その約100年前の1820年には、コレラが大流行しました。
19世紀は産業革命で都市に多くの人が集まりましたが、労働者は劣悪な環境で働かされたためにコレラがまん延しました。
結果、衛生環境や労働環境に目が向けられ、公衆衛生という考え方が生まれました。
1720年「ペスト」の大流行
その約100年前の1720年には、フランスでペストが大流行しました。
ペストは黒死病とも呼ばれ、それ以前も度々流行していました。
しかしこの時期に多くの労働者が死んだため、ヨーロッパでは領主などが力を持つ荘園制が崩壊し、国王の中央集権が進み、集権化による防疫体制が整備されました。
ヨーロッパは、それ以前も何度かペストが大流行していますが、防疫体制が整備されて以降は、ほとんどペストのパンデミックは起きていません。
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「情報型・非接触型社会」への進展が進む
今回の「新型コロナウイルス」は、何を残すのでしょうか。
私は、「情報型・非接触型の社会」が、大きく進むのではないかと思います。
すでに、インターネットやスマホで、「情報型・非接触型の社会」は出現していますが、これがさらに速度を速めることでしょう。
1か所に集まらなくても、3Dホログラムで遠隔地から会議に出席できるようになるでしょう。
また、わざわざ会社に行かなくても、同僚とスムーズに仕事ができる社会が、あたりまえになってくることでしょう。
すでに、実証実験が始まっていますが、宅配はドローンでの無人配達が標準的になるでしょう。
また、診療も、スマホを使って目視とデータ通信で行うという社会がやってくることでしょう。
こうした方向は、新型コロナウイルスのパンデミックがなくても、早晩やってくる社会です。
それが、一気に早まる可能性があるということです。(執筆者:荻原 博子)