記事更新日時:4月9日
運転免許証の有効期間延長は、「免許証の更新期限が令和2年3月13日~7月31日までの間に更新期限を迎える人」に対象者が拡大されました。
また、運転免許センター・警察署を訪れることなく、郵送での有効期間延長も可能です。
車検については、緊急事態宣言が発出された7都府県について、令和2年5月31日までに車検が無効になる車の期限が、一律6月1日までに延長されます。
4月30日までに延長されていた車については、再延長されます。
自賠責保険も、車検更新時まで猶予されます。
目次
運転免許証

新型コロナウイルスへの感染を危惧して、「警察署や運転免許センターへ更新手続きに行きたくない」という人はいるでしょう。
そのような方のために警察庁では、免許証の更新期限が令和2年3月13日~3月31日の方を対象として、運転免許証の更新期限を最長3か月間延長可能としました。
免許を失効させると損失が大きい
以前はゴールド免許の人も、失効後に免許を再取得したらブルーの免許になります。
ゴールドとブルーでは、以下のような違いがあるのです。

特に大きいのが費用面で、ゴールドとブルーでは300円の差があるのに加えて、失効させると「再取得日=初回免許取得日」となって初心者講習が必要となるため、費用が3,850円とさらに高くなるのです。
加えて、無免許運転状態となるので任意保険が適用されず、万が一事故を起こしても補償を受けられません。
更新期限切れの前に申し出る必要あり
ただし、対象の方が全員自動的に適用されるわけではなく、更新期限切れの前に警察署や運転免許センターへ申し出なければなりません。
また、延長された最長3か月間の間に、通常の更新手続き(講習の受講や適性検査の受検など)を受けないと、免許は失効します。
失効させても再取得が可能
更新期限内に手続きができずに免許を失効させた人も、
・運転免許の失効から最長3年以内
・新型コロナウイルス拡大の終息から1か月以内
という2つの条件を満たせば、学科試験・技能試験が免除されて、運転免許の再取得が可能です。
延長の申し出を忘れてしまった方も、条件を満たした上でこの制度を使えば、面倒な試験を受けずに免許を再取得できます。
車検

車検を受けるにはディーラー・カー用品店・整備工場・運輸支局などに足を運ぶ必要がありますが、やはり新型コロナウイルスが心配です。
そのような方のために国土交通省では、自動車検査証の有効期間が令和2年2月28日~3月31日の自動車を対象として、令和2年4月30日まで自動車検査証の有効期間を延長します。
令和2年4月30日までに車検を受ければ、引き続き自動車に乗り続けられます。
これまでも、災害などにより地域限定で車検の有効期間を延長したことはありましたが、今回は全国一律です。
車検切れの車には追加の自賠責保険料・再取得の費用がかかる
車検切れの車の車検を再び受けるには、運輸支局やディーラーなどに車を運ぶ必要がありますが、車検切れの車は公道を走れませんので、
・他の車にけん引してもらう
・仮ナンバーを発行する
などの方法まで運ばなければなりません。
ただし、どちらを選択しても自賠責保険が1か月以上残っていないといけないので、自賠責保険も切れていたら1か月分を別途加入する必要があります。
普通自動車の自賠責保険料は、24か月分が2万7,630円なのに対して、1か月だけだと6,090円とかなり割高です。
仮ナンバー取得には、800円程度の費用がかかります(自治体によって異なる)。
また、車検切れの車をけん引するには申請手数料(750円程度)を支払わないと法律違反になり、けん引業者に支払う費用も必要です。
積載車(キャリアカー)で運べば仮ナンバーも自賠責も不要ですが、最低1万円の出費は覚悟しなければなりません。
有効期限が延長されないケースがある
自動車検査証の有効期間が令和2年2月28日~3月31日の自動車を対象として、令和2年4月30日まで自動車検査証の有効期間を延長するのが、今回の措置です。
令和2年3月29日以前に車検を受けた車は、4月30日までの有効期間延長がされず、「車検を受けた日から2年(または1年)後」が新たな有効期間となります。
また、令和2年4月1日~4月30日の猶予期間の間に検査を受ける際、延長の申告がなくても延長されませんので、注意しましょう。
さらに、運転免許証とは異なり、対象期間より前に期限切れになってしまった車に対して、特に救済措置はありませんので、改めて車検を受けてください。
自賠責保険

自賠責保険は、車検と同時に手続きをするのが一般的ですが、新型コロナウイルスが心配で車検を受けないと保険契約も継続できません。
そのような方のために国土交通省では、車検の継続検査までに保険契約期間の終期を迎える自動車を対象として、自賠責保険の継続契約の終期を4月30日まで猶予します。
書類上は無保険状態になってしまいますが、特に手続きをすることなく4月30日までは自賠責保険が有効です。
新たな自賠責は「現行の自賠責有効期間」「延長後の車検有効期間」を満たす必要あり

ただし、改めて自賠責保険の契約をする際には、「現行の自賠責有効期間」「延長後の車検有効期間」の両方を満たす自賠責保険に加入しなければなりません。
分かりにくいかもしれませんので、上の図を参考に説明しましょう。
(1) 車検証に記載されている有効期間:令和2年3月29日
(2) 自賠責保険証明書に記載されている保険期間:令和2年3月30日
という車があったとします。
この車は車検延長の対象となりますので、令和2年4月30日までに車検を受ければOKですので、
(3) 車検を受けた日:令和2年4月10日
(4) 自賠責保険を新たに契約した日:令和2年4月10日
という手続きをしました。
車検の延長期間は一律ですので、
(5) 延長後、次回車検の有効期間:令和4年4月30日
となります。
この際、(4) の新たな自賠責保険は、(2) と(5) の両方の期間をカバーしていなければなりません。
つまり、(4) の新たな自賠責保険は、「令和2年3月30日から令和4年5月1日以降」でなければなりません。
とはいえ、車検と同時に自賠責に加入する場合は、さほど考える必要もないでしょう。
バイクなどの自賠責保険は令和2年4月30日まで延長
400cc以下のバイクなど車検対象外の車両でも、自賠責保険に入っているケースもあるでしょう。
この場合、令和2年2月28日~4月30日に保険終期を迎えるバイクなどは、保険の継続手続きが令和2年4月30日まで一律に猶予されます。
こちらは自分で手続きをする必要があります。
自賠責保険がないと多額の出費も
自賠責保険が期限切れの状態は「無保険運転」となり、最低でも違反点数6点ですぐに免許停止、さらに1年未満の懲役か50万円以下の罰金の可能性もあります。
万が一無保険状態で事故を起こそうものなら、国が被害者に対して補償を行ったのち、加害者に国が損害賠償請求を起こします。
最悪、土地や建物、給与などが差し押さえられる可能性もあるため、自賠責保険の無保険は絶対に避けてください。
不明点は関係各所に相談しよう
新型コロナウイルスに伴う自動車関係の延長措置や猶予措置は、
・ 運転免許証
・ 車検
・ 自賠責保険
で実施されます。
なかなか分かりにくいところもあるかと思いますので、不明点については、
・ 運転免許証:最寄りの警察署、運転免許センター
・ 車検:ディーラー・カー用品店・整備工場・運輸支局など
・ 自賠責保険:契約している保険会社
に相談してから手続きをすると、確実です。(執筆者:角野 達仁)