あちらこちらでこのような文章を見かけます。
私自身ももちろん書いたことがあります。
しかし、実際にどうすれば支払いを受けられるのか、強制執行に至るまでの流れについてもある程度知っておいた方がよいですね。

目次
そもそも「債務名義」とは
債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書の総称です。
「債務名義」を持つことにより、
のです。
種類をあげると、先述の「公正証書」のほか「判決(文)」、「和解調書」や「調停証書」などがあります。
ただし、支払いがないからといって「債務名義」をそのまま銀行に持っていけば差し押さえができるという訳ではもちろんありません。
申立ては地方裁判所の「債権執行部」へ
離婚に関するさまざまな申立ては家庭裁判所に行うのですが、「債務名義」は一定の金銭の支払いなどを求めるものなので、養育費支払いであっても、地方裁判所の「債権執行部(係)」に申し立てなければなりません。
都市部では地方裁判所と違う場所に執行部がある場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
申立てに必要なもの
必要なものは、
・ 申立書(ホームページからダウンロードできます。直接取りに行くこともできます。)
・ 債務名義の送達証明書
です。
送達証明書は、公正証書の場合であれば、作成した公証人に頼みましょう。
作成時に公証人が説明のうえ、手続きまでしてくれることが多いようです。
申立てる管轄の地方裁判所

なお、申立ては、
銀行口座を差し押さえる場合には、口座のある銀行所在地を管轄する
地方裁判所に対して行うことに注意してください。
公正証書には普通「裁判管轄」の条項がありますが、それはあくまでも紛争が起こった時の管轄であり、強制執行とは関係ありません。
なお、申立て費用は4,000円です。
それに加えて連絡用の郵便切手を予納します。
額は裁判所により変わりますが、基本的には3,000円以内に収まります。
第三債務者とは
申立書には、自分と債務者である相手方以外に、第三債務者を明記します。
第三債務者とは、実際に差押えを行う先、すなわち夫へ給料を支払っている会社や、夫名義の口座がある銀行などのことをいいます。
申立書の書き方は裁判所のホームページに載っていますが、分かりづらい場合には裁判所に尋ねるのが1番です。
遠方であれば仕方ありませんが、できれば電話ではなく直接出向いて尋ねた方が分かりやすいと言えます。
差押え自体は本人が行う
書類が整えば、裁判所は第三債務者宛に差押え命令を発令し、命令の送達通知が申立者に届きます。
送達日から1週間たてば取り立て可能となるので、会社や銀行に差押え命令の正本を提示し、支払いを依頼します。
なお、養育費の差押え手続きは1度すれば、将来に向けて期日まで支払いが続けられるので安心してください。
勤務先・口座が分からなくても財産開示手続の申立て可能
元夫の勤務先が変わったり、銀行口座が分からなかったりすると、「債務名義」があっても差押えできません。
しかし、このたび法律が変わり、2020年4月からは公正証書であっても財産開示手続の申立てができるとのことです。
ぜひ利用してください。(執筆者:橋本 玲子)