世界的に金利が低下し、日欧ではマイナス金利が導入されている現在、国民の大切な年金資産を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用状況について見てみましょう。

目次
GPIFの運用状況とカテゴリー別収益率
2018年度(2018年4月~2019年3月)のGPIFの運用収益率
国内株式:△5.09%
外国債券:+2.70%
外国株式:+8.12%
全資産の運用収益率:+1.51%
また、2018年度末(2019年3月末)時点の資産構成比率
26.30% + 短期資産:7.67%
国内株式(同25%):23.55%
外国債券(同15%):16.95%
外国株式(同25%):25.53%

ここから言えることは、
ということです。
つまり、成長率の低い日本の資産より、成長率の高い外国の資産の方が収益率が高くなっています。
そのことはGPIFも認識しており、国内資産(債券、株式とも)の実際の配分比率は組入れ目標を下回っている一方で、外国資産(債券、株式とも)は上回っています。
国内債券の低い収益率の影響を受け運用方針も変更へ

みなさんもご存じの通り、日本の長期金利はマイナスで推移しています。
そのため、国債を買って満期まで保有していると損失が発生してしまうという異常な状況にあります。
これは、国民の大切な年金資産を運用するGPIFにとって非常に厄介な問題となっています。
そこで、GPIFは「国内のマイナス金利の債券ではなく、外国の金利がプラスの債券投資の割合を増やしたい」と考えています。
しかし、前述の通り、GPIFにはカテゴリーごとに決められた組入れ目標が存在(国内債券は35%、外国債券は15%)するため、むやみやたらに外国債券の比率を高められません。
それでは、国内債券と外国債券の違いはどこにあるのでしょうか。
もちろん金利がプラスかマイナスかという違いもありますが、最も大きな違いは為替変動の影響を受けるか否かということです。
そのため、外国債券への投資をする際にも、
GPIFはこの為替ヘッジを利用することで、為替ヘッジを付した外国債券への投資は国内債券へ投資しているとみなす、すなわち
という運用方針の変更を行おうとしているところです。
外貨建て資産も運用対象に
外貨建て資産のウェイトを高めるGPIFの運用方針は、みなさん個人が運用する際にも有益だと考えられます。
前述の通り、国内債券の利回りはマイナスが定着しています。
また、日本は人口が減少しており、経済成長率が継続的に大きく伸びることは想定できません。
そのため、日本の株式市場全体の収益率は、外国株式の収益率に劣る可能性が高いと言えるでしょう。
それは、2018年のGPIFの運用状況を見ても明らかです。
従って、運用資産の一部に外国資産も組入れた運用をされてみてはいかがでしょうか。(執筆者:土井 良宣)