コロナショックの影響で、都内の各大学ではリモート(オンライン)授業や、新学期の授業開始を1か月延期するなど、臨時措置が発表されています。
未曽有の事態の渦中ではありますが、学生さんにぜひ、知っておいてもらいたい国民年金の制度をご紹介します。
目次
学生でも国民年金に加入しなければならない

国民年金の加入要件として、日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務付けられています。
職業等は関係ないため、学生も強制加入となります。
しかし、学生の本分は学業にあるため、国民年金保険料の納付が困難な場合に、ぜひ利用してもらいたい制度が「学生納付特例制度」です。
学生本人の所得が一定以下
であることが前提で、国内の学校に通うほとんどの学生が対象となります。
対象となる学校
基本的には、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校が対象です。
また、日本国内にある海外大学の日本分校等で、文部科学大臣が指定した課程の学生も対象となり、夜間・定時制課程や通信課程の学生も当然含まれます。
外国人留学生も学生納付特例を利用できますが、「日本語学校」へ通っている場合は、対象校とならないことがほとんどのため、注意が必要です。
必要な書類
前述の各要件に該当している場合、学生納付特例の申請が可能です。
申請時に必要な書類として、学生等であること(または学生等であったこと)を証明する書類を持参してください。
具体的には、
・ 学生証(裏面に有効期限、学年、入学年月日の記載がある場合は裏面も含む)のコピー
・ 在学期間がわかる在学証明書(原本)
です。
猶予された保険料の納付期限
学生時代に納付を猶予していた保険料は、10年以内であればさかのぼって追納できるので、学校を卒業し社会人となってから、計画的に納付できます。
学生納付特例期間の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合は、当時の保険料額に、経過期間に応じた「加算額」が上乗せされます。
これはいわゆる延滞料のようなもので、数十円から数百円の範囲で加算されます。
詳しくは、日本年金機構のホームページで確認してください。
10年以内に追納できなかった場合
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昔、学生の頃に納付できなかった保険料を納めるにはどうしたらいいですか?」の質問の答えは
です。
学生納付特例を利用していた場合でも、10年以内に追納できなかった場合、その時点での納付は不可能です。
しかし、1つだけ方法があります。
それは、60歳から65歳までの5年間(60月)だけ「高齢任意加入」という方法で、任意に国民年金に加入でき、過去の未納部分についての穴埋めができ「付加保険料」についても、併せて納付ができます。
過去に未納がある人のみ加入できる制度なので、60歳までにすでに40年(480月)の納付期間がある場合は、任意加入はできません。
納付が困難な場合は制度を活用
「(学生納付特例の対象校ではないため)学生だけど、学生納付特例が利用できない」という人で、国民年金保険料の納付が困難な場合には、「国民年金保険料免除/納付猶予制度」を活用しましょう。
一定額以下の所得でなければ対象となりませんが、免除制度は4段階に分かれているため、多少のアルバイト収入がある場合でも利用可能です。
今回は学生納付特例のみに着目しましたが、納付が困難な場合に利用できる制度はいくつもあります。
各種申請や相談は、お近くの年金事務所か、市区町村役場の国民年金担当課へご相談ください。(執筆者:特定社会保険労務士、AFP 浦辺 里香)