新型コロナウイルスの感染拡大が連日報道されるようになり、本来ならば初々しい姿に心和むこの季節に、親世代の減収や新卒生の内定取り消しなどというやりきれないニュースを耳にするようになってしまいました。
予定していたお金が準備できないとなると、教育資金は高額であるため、長期間にわたり暮らしに影響を与えかねません。
今回は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変した人への日本学生支援機構の支援制度についてお伝えします。

目次
在学中の学生への支援1 給付型奨学金
家計の減収によって緊急支援の必要がある場合、急変後の所得見込みが要件をみたせば、返済不要の給付型奨学金の対象です。
参考元:日本学生支援機構
該当するかどうか判断に迷う方が多いと思いますが、日本学生支援機構のホームページの進学資金シミュレーターから「給付奨学金シミュレーション(保護者の方向け)」を行ってみてください。

「給与収入」と「給与・年金以外の所得」の欄には、収入が減少した月(1か月分)の金額を12倍にして入力、そのほかの空欄を埋めると、支援対象となるか判定ができます。
ネット環境さえあれば自宅からでも、簡単に判別ができるのでぜひお試しください。
在学中の学生への支援2 【緊急採用第】一種奨学金
給付型奨学金に当てはまらないなら、一般来な教育ローンより第一種奨学金もしくは第二種奨学金を検討しましょう。
通常日本学生支援機構の奨学金を利用するには、申し込み期間が設けられていますが、緊急・応急採用の場合は、年間を通じて申し込めます。
対象となるのは、家計急変事由が発生してから12か月以内の学生で、緊急に奨学金が必要となったと認められた人です。
さらに第一種奨学金では、次のとおり学力や家計基準が定められています。
参考元:日本学生支援機構
・ 学業成績が、平均水準以上
・ 特定の分野において特に優れた資質や能力を有している
・ 学修意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがある
・ 特別の理由により、緊急採用の対象とすることが必要と学校長が認めた学生
【家計基準】
・ 家計急変から、その後1年間の家計が収入基準額の範囲内になることが確実な人
・ 家計急変により、世帯の年間の支出額が著しく増大した、または年間の収入額が著しく減少した場合
・ その他家計急変の事由により、緊急採用が必要と学校長が特に認める学生
なお平成30年度以降入学者の大学生への貸与月額は、次の通りです。
参考元:日本学生支援機構

在学中の学生への支援3 【応急採用】利子がかかる第二種奨学金
第二種奨学金は、給付型や第一種奨学金より学力・家計ともに採用基準は緩やかです。
参考元:日本学生支援機構
・ 今後とも家計急変の事由が生じたことによる経済困難が継続すると見込まれる者
・ 学力および家計を総合的に判断し学校長が緊急に奨学金を必要と認める者
利子はかかるものの、貸与月額は大学・短大ともに2万円~12万円の間から(1万円単位)選択できます。
参考元:日本学生支援機構
奨学金を返す人への2つの救済措置

奨学金の返済は長期間に及ぶことが多いため、無事社会人となっていても家族を扶養するようになったなどの環境の変化により、負担になることもあるでしょう。
減収や失業、内定取消等から奨学金の返還が難しくなったときには、「減額返還」、「返還期限猶予」が申請できます。
いずれの制度も利用するには一定の所得制限がありますが、扶養者がいる場合には1人につき38万円を控除できます。
例えば配偶者と子2人を扶養しているなら、
年間収入が439万円以下であれば減額返還
414万円以下なら返還期限猶予
【給与所得以外】
年間所得が339万円以下であれば減額返還
314万円以下なら返還期限猶予
の申請が可能です。
減額返還
所得連動返還方式を選択している人は利用できませんが、一定期間返還月額を2分の1または、3分の1に減額できます。
返還すべき総額が減額されるものではありませんが、最長15年まで延長可、第二種奨学金の利息額は変わりません。
参考元:日本学生支援機構
返還期限猶予
届け出をだすことにより、定められた期間返還しなくても返済を求められません。
毎年申請が必要ですが、最長10年まで延長ができます。
さらに傷病や災害、生活保護受給中、産休・育休、在学中、海外留学などの場合には、制限年数は定められておらず、猶予されている期間は第二種奨学金に新たな利息はかかりません。(執筆者:日本学生支援機構)
支援制度を利用して、この曲面を乗り越えよう
授業料や奨学金返還の引き落としは用意ができなければ、督促されたり延滞金が発生するなど、少なからずダメージを受けることになります。
上記の制度を利用するには、所定の書類が必要です。
すぐには準備できないものもあるかもしれませんが、在学生なら学生課へ、卒業生なら奨学金相談センターで相談してみてください。
早めに動いて、暮らしを守りましょう。(執筆者:吉田 りょう)