新型コロナウィルス拡大の影響で、従業員間のウィルス感染の防止と社会全体への感染の影響を減らすために、テレワークを開始した企業が増えました。
きっかけはともかく、従業員の健康管理に積極的に取り組む企業は年々増えています。

目次
従業員の健康管理に取り組む企業「健康経営銘柄」について
従業員の健康管理を経営的視点で考えつつ、戦略的に取り組む上場企業銘柄を「健康経営銘柄」と呼び、経済産業省と東京証券取引所が毎年共同で選定しています。
近年では
という分析があり、「健康経営」は中長期的な投資を行う際に無視することのできないキーワードの1つになっています。
今回は先月発表されたばかりの「健康経営銘柄2020」の中から、今年初選出された注目企業を紹介します。
TOKAIホールディングス (3167)

「健康経営銘柄」に今年初選出された健康経営に力を入れる企業です。
TOKAIホールディングス(3167)は、1950年に都市ガス事業を開始し、その後、LPガスやインターネット、水の宅配事業、ケーブルテレビ、建築・不動産業といったサービスを手掛け、生活に密着したインフラを1か所で提供できるような取り組みを行っています。
本社は静岡県にありますが、関東を始めとした全国に営業エリアを広げていることもあり、顧客数は年々増え続け、2018年度の顧客件数は290万件となっています。
健康経営の具体的な取り組みとは
企業として「健康経営」の方針を従業員に浸透させるには、分かりやすく、具体的な取り組みが不可欠です。
TOKAIホールディングスでは、従業員の食事へのアプローチやメンタルヘルスへのアプローチ、がん対策支援、健康についての専門知識取得への支援など大きく分けて7つの健康促進プランが用意されています。
従業員への食事のアプローチとは
健康経営への取り組みとして、社員食堂のメニューを健康的なものに変えるという手法はよくあります。
TOKAIホールディングスでは、さらに一歩踏み込んで、厚生労働省の食事摂取基準をベースとした条件を満たす宅配弁当を利用した場合、費用を補助するという方法を取っています。
その他にも、健康メニューレシピを提供したり、食事に関する動画を配信したりと、食事と健康の情報提供にしっかりと取り組んでいます。
がん対策支援で行っていること
肺がん・大腸がん・胃がん・乳がん・子宮がんの検診の実施と受診の促進が行われています。
特に、乳がん・子宮頸がんといった女性特有のがん検診については、TOKAIホールディングスから費用の一部を補助することによって受診を促進しています。
健康についての専門知識取得まで取り組んでいる
健康についての知識を周知させることは、健康経営に取り組む企業ではよく行われますが、TOKAIホールディングスのように、健康に関する資格検定の取得を推奨している企業は珍しいと言えます。
日本健康生活推進協会が主催する「健康マスター検定」の受検推進を行っていて、2019年4月時点では、ベーシック取得が38名、エキスパート取得が58名となっています。
その他にも、女性特有疾患対策セミナーを行ったり、産業保健スタッフが社内広報誌に健康情報を掲載したりと、健康についての知識を従業員に浸透させるという企業姿勢が伝わってきます。

財務面と非財務面の両方がバランスよく成り立つ銘柄
「健康経営銘柄」は、企業から提出のあった「健康経営度調査」の評価が上位20%以内、かつ、財務面での評価基準も踏まえての選定ですので、両方がバランスよく成り立っている優秀な銘柄であると言えます。
中長期投資銘柄選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。(執筆者:AFP、2級FP技能士 大川 真理子)