離婚する際に夫と養育費の取り決めをしたものの、相手が借金まみれになって養育費を支払ってもらえなくなることはよくあります。
と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、子どもを育てていくためには何とかして養育費を確保したいところです。
実は、離婚相手が自己破産しても養育費は請求できます。
今回は、自己破産した離婚相手から養育費を支払ってもらう方法を解説するとともに、借金まみれの離婚相手から養育費を確保するちょっとしたコツも紹介します。
目次
離婚相手が自己破産しても養育費は請求できる

破産法第253条によると、養育費の請求権は「非免責債権」とされています。
つまり、離婚相手が自己破産しても、養育費は全額請求できるのです。
離婚する際の養育費の取り決めが自己破産によって無効になることもありません。
ただし、このことを知らない離婚相手は多く、「自己破産をすれば養育費も払わなくていい」と考えて養育費の滞納を重ねる人もいるのです。
滞納する相手に対しては、
と言えるでしょう。
滞納された養育費も請求できる
養育費の請求権は免責されないので、
ただし、全額を回収するのは実際には難しい場合も多く、時間もかかります。
そのため自己破産前に、養育費の滞納が数か月続いた時点で早めに手を打っておくことが大切です。
養育費の全額を回収するのは破産手続き終了後
破産手続き中は、相手に対して強制執行手続きはとれません。
また、養育費の請求権が非免責債権であるといっても、他の債権者より優先して支払ってもらえるわけではありません。
全額を請求する権利が消滅しないというだけです。
つまり破産手続き中は、
・ 他の債権者と公平に一部配当を受ける
という流れになります。
残った分については
必要があります。
なお、離婚協議書で取り決めた養育費の支払い請求権は、5年で消滅時効にかかるのでご注意ください。
借金だらけの離婚相手から養育費をもらうのは難しい

以上が、自己破産した離婚相手から養育費を支払ってもらうための法律のお話しです。
権利があるといっても、実際には「ない袖は振れない」という状態になってしまうことが多いのも事実です。
支払いが苦しくなった相手は「養育費減額調停」の申し立てができます。
家庭裁判所が相手の収支を確認してやむを得ないと判断した場合には、養育費をほとんど支払ってもらえなくなる可能性も十分にあるのです。
養育費を確保するためには権利を主張することも大切ですが、相手を追いつめるだけではなく、「ない袖」を少しでも「ある袖」に変えてもらう工夫も必要でしょう。
相手に自己破産を勧める
そこで、
のも1つの解決策と言えます。
借金まみれになった人でも、すぐに自己破産するわけではありません。
多くの多重債務者は、借金で借金を返すという自転車操業状態を何年も続けているものです。
このような状態のまま養育費の支払いを期待することには無理があります。
強制執行手続きで回収を図っても、早晩に破綻することが目に見えているとも言えます。
そこで、返済不能に陥った離婚相手には、
ようにするのがおすすめです。
相手の借金を解決して養育費を確保する
と考えている方は多いと思います。
しかし、真の問題は「自己破産するかどうかではなく、相手の借金をいかに解決するか」という点にあります。
養育費を確保するためには、相手を追いつめることにやっきになるのではなく、こちらに回してもらえるお金を増やしてもらう方策を考えることが大切です。(執筆者:川端 克成)