新型コロナウィルスの影響は、当初は中国一国の問題ととらえられていましたが、2月中旬以降は日本や欧州、米国でも感染者が増加し始め、2月下旬にはコロナは世界的な感染病であると認識されるに至りました。
日米の株式市場も2月中旬頃までは堅調に推移していましたが、コロナの感染拡大に合わせて下落しました。
米国のダウ工業株30種平均株価は、2月12日に2万9,551ドルの年初来高値をつけたあと、3月23日の1万8,591ドルの今年最安値まで急落しました。
日経平均株価も同様に、1月20日に年初来高値の2万4,083円をつけたあとしばらくは堅調に推移していましたが、2月中旬から下落を始め、3月19日には年初来安値である1万6,552円まで値を下げました。
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株価指数は半値程度戻ってきた

この短期間にこれだけの下落を記録したのは、投資家がコロナショックの恐怖から、
という行動に動いた結果です。
しかし、投資家がこのような行動をとっているときの株価は、経済状況や企業業績に基づいた適正な価格にはなっていません。
そのため、恐怖に駆られた株式の現金化が一段落すると、あまりにも株式は売られ過ぎだと思う投資家(特に短期投資家)が現れ、日米とも株価指数は高値と安値の半値程度のところまで戻してきています。
依然高い株式市場の変動幅
この記事の執筆時点(4月27日)では、日米とも2020年1~3月企業決算のさなかであり、徐々に企業業績が判明してきてはいます。
しかし、それでも現在の株価はまだ経済状況や企業業績に裏付けられたものではなく、誰も適正な株価水準はわかっていない状態です。
その結果、投資家が想定している株価変動の大きさを表す恐怖指数は、3月半ばにピークをつけたあと下落してきているとはいえ、いまだ40前後(平常時は10台半ば程度)でウロウロしている状況です。
長期投資の年金や保険といった投資家は、恐怖指数が安定的に40割れとなるまでは購入には動けないため、現在株式市場に参加しているのは短期のヘッジファンドやデイトレーダーなどに限られています。
短期投資家は、文字通り短期での売買を繰り返すため、相場の変動幅は大きくなってしまい、足元ではまだボラタイルな相場が続いています。
回復はコロナの終息時期次第

足元の株価は、最安値から半値戻しの水準までは回復してきましたが、今後の値動きはコロナの終息時期にかかっていると思われます。
これまで欧米では、都市のロックダウンが実施されており、経済が停滞ないし停止していました。
日本は現在、人の移動制限をしている真っただ中ですが、ここにきて、コロナの感染拡大を抑えられた国や都市は、徐々にロックダウンを緩和する方向に動き出しています。
人の移動が再開されれば再度コロナが拡大するおそれも存在します。
しかしこのまま感染拡大が抑えられ、企業活動も回復してくる、つまり4~6月でコロナの影響が収まり、早期に経済が回復軌道に乗ってくれば、株価はそれを先回りする形でV字回復をみせてくるでしょう。
一方、コロナが4~6月で終息せず、7~9月や10~12月まで悪影響を及ぼし続ければ、その間に失業者は急増し、潜在的な需要までもが消失してしまう可能性が高まります。
そのようになれば、コロナが終息して企業活動が再開できるようになっても需要は戻ってこず、企業業績も悪化するため、株価の戻りは非常に緩慢なものになってしまうでしょう。
安易に早期V字回復を期待しない
現段階ではコロナの終息時期はまったく見通せず、
・ 開発されたとしても必要量を早期に生産できるのか
・ 生産できたとしても早期に全国民に接種させられるのか
など、不透明なことが多すぎます。
従って、コロナは4~6月に終息し、株価は早期にV字回復すると安易に考えるのは避けた方が良いでしょう。(執筆者:土井 良宣)