ヨシムラ・フード・ホールディングス(証券コード:2884以下ヨシムラフード)という会社があります。

ヨシムラフードのビジネスモデルは、商品や製造に強みを持つものの、後継者不在等の理由で事業の継続に問題がある中小食品企業を子会社化して、グループ全体の利益をあげるものです。
ただし、どんな企業でもいいというわけではなく、ヨシムラフードグループに入ることでグループ全体の価値向上が狙える企業をM&Aの対象にしています。
ヨシムラフードの吉村社長は大和証券とモルガン・スタンレー証券で長年経験を積んでおり、企業の目利き力は高いものがあります。
目次
ヨシムラフードが2019年にM&Aした「森養魚場」のすごさ
森養魚場とは、全国でもトップクラスの規模と設備力を誇る鮎(あゆ)養殖企業です。
オーナー社長が高齢であるため、ヨシムラフードグループ入りすることになりました。
ヨシムラフードは、森養魚場の鮎を、日本及びアジアで販売することで相乗効果が得られると判断し、M&Aを決断しました。
森養魚場の1番の魅力は「利益率の高さ」にあります。
2018年には売上約7.8億円に対し、約2億円の利益をあげています。
売上に対する利益率は25%もあります。
ヨシムラフードの森養魚場を除く売上に対する利益率は約1.1%(2019年の決算)なので、森養魚場の利益率の高さが際立ちます。
この森養魚場を、ヨシムラフードは約13億円でM&Aをしています。
今後森養魚場が毎年約2億円の利益をあげ続けると、7年で投資資金を回収できてしまいます。
さらに、ヨシムラフードの2019年の利益は約2.6億円なので、単純計算ですが森養魚場の利益が加わることで約77%の増益要因になります。
今後森養魚場の鮎がヨシムラフードのグループ会社の売上に貢献することがあれば、森養魚場をかなり格安でM&Aできたと言えるのではないでしょうか。
参照:ヨシムラフードの株式会社森養魚場の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
ヨシムラフードの代表的な子会社
代表的な子会社を紹介いたします。
1. 楽陽食品
売上:47.8億円(2019年)
利益:▲900万円(2019年の数値。2018年は1億1000万円)


楽陽食品は箱入り冷凍シュウマイが売りの、ヨシムラフードグループ内で1番売上が多い主力子会社です。
2019年(決算期)は値上げを行ったため、一時的に売上が落ちて減益となりましたが、2020年(決算期)は好調に推移し売上は3.3%増加しました。
2. ダイショウ
売上:7.2億円(2018年)
利益:7,500万円(2019年)


ダイショウは、ピーナッツ加工品の製造・販売を行っている会社です。
代表的な商品「ピーナッツバタークリーミー」は発売以来30年続くロングセラー商品です。
2019年は8,100万円、2018年も7,500万円の利益をあげており、安定した利益が見込める企業と言えそうです。
3. エスケーフーズ
売上:36億円(2019年)
利益:2,200万円(2019年)


エスケーフーズはチルドのとんかつ等を製造・販売する会社です。
販売先はスーパーが多いため、自粛要請の影響は小さいでしょう。
ヨシムラフードは2016年にエスケーフーズを約2億円でM&Aをしています。
現在黒字で売上規模も30億円以上ある企業をたった2億円で買収できたことはかなり割安でしょう。
ヨシムラフードの成長のカギはM&A
ヨシムラフードが今後利益を伸ばし、株価を上昇させるにはどれだけ優良企業をM&Aできるか、もしくはM&Aをした企業を立て直せるかにかかっています。
現在、コロナウィルスの影響で営業を自粛している飲食店、食品会社の多くが厳しい経営環境に置かれています。
ヨシムラフードはそういった企業の受け皿となり、企業活動の存続と再成長への助けとなれる存在です。
また、一時的に苦境におちいっている企業を割安で買収できる可能性が高く、ヨシムラフードの目利き力が試される場面にもなっています。
最後に、ヨシムラフードの子会社の主な販売先はスーパーや量販店であり、当社商品に対する需要は増加しています。

全く悪影響がないとは言えませんが、比較的コロナウィルスの影響に強みのある企業と言えるでしょう。(執筆:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)