日本には、小・中学校に通う児童が学校に通えるよう、給食費や学用品費などを援助してくれる「就学援助」という支援制度があります。
こちらの「就学援助」、自治体によって、申請期間も支援内容も支援金額もバラバラですが、入学や新学期の直後に申請書を学校から渡されたという人も多いのではないでしょうか。
4月に申請書を渡された場合、「4月末が締切日」となっているケースが多いようですが、4月からの認定を希望しないのであれば、期限後でも申請が可能です。
「コロナで収入が減少している」という保護者の方も、ぜひ、最後までご覧ください。
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目次
就学援助の対象となるもの
文部科学省のホームページでは、
・体育実技用具費
・新入学児童生徒学用品費等
・通学用品費
・通学費
・修学旅行費
・校外活動費
・医療費
・学校給食費
・クラブ活動費
・生徒会費
・PTA会費
・卒業アルバム代など
上記のものが対象となっていますが、実際に援助が受けられるものや援助金額については、自治体によって違っています。
支援内容や支援金額は、自治体によってバラバラというのが現実です。
そこで、筆者の住む地域のほか、いくつかの自治体をランダムで抽出し、そこから支援内容や支援金額について平均的なものを割り出してみました。
援助の対象となるものと金額
・ 学用品費:対象は全学年 小学生の年額約1万円 中学生の年額約2万円
・ 通学用品費:1年生以外 小学生の年額約2,000円 中学生の年額約2,000円
・ 宿泊を伴わない校外活動費:参加者のみ実費(上限あり)
・ 宿泊を伴う校外活動費:参加者のみ実費(上限あり)
・ 修学旅行費:参加者のみ実費(上限あり)
・ 給食費:全学年(実費)
・ 通学費:公共交通機関利用費の補助。学校までの距離が、学校の指定した距離以上であること
・ 医療費:虫歯や中耳炎などの治療費の実費
4月から認定を受けた場合
4月から就学援助の認定を受けた場合には、「新入学児童生徒学用品費」と言い、小学生ではランドセルや体操服などの入学にかかる準備品を購入する費用の援助があります。
中学生の場合は、カバンや制服、体操服など、小学生のときよりもお金がかかることが多いため、援助の費用も多くなります。
具体的には、
・ 新中学1年生では5万円以上
援助してくれる自治体が多いです。
締切日以降も申請可能な「就学援助」
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就学援助は、自治体によって申請期間も支援内容も支援金額もバラバラなため、対応してくれる自治体によって内容が大きく変わります。
けれど、就学援助の趣旨が、学校教育法第19条の、
「経済的理由で就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、市町村は必要な援助を与えなければならない」
という決まりのもと実施されているため、締切日以降でも、ほぼ受け付けてくれます。
ただし、「ほぼ」随時受付の対象となるのは、年度の途中で家庭環境が変わった場合です。
・ 就学援助の対象となるとは思わなかった
などの場合でも受付けをしてくれる自治体も多いので、管轄の教育委員会に問い合わせて指示を仰いでみましょう。
年度の途中で家庭環境が変わる具体例
・ ケガ
・ 病気
・ 収入の減少
・ 残業の減少
・ リストラ
・ 新型コロナウイルス
締切日を過ぎての取り扱い
締切日を過ぎてしまうと4月からの認定は難しくなりますが、申請月の翌月からは認定してくれる自治体も多いです。
締切日を過ぎての支援内容や支援金額も自治体によってバラバラなのですが、最低でも、毎月の給食費全額もしくは大部分を援助してくれるケースがほとんどです。
給食費は下記のように、小学生で4,000円ちょっと、中学生では5,000円近く支払う必要があります。
家計が厳しいとき、毎月の、この給食費の支払いがないというだけでもかなり大きいです。
参照:文部科学省(pdf)
コロナで申請期間が延長の自治体も
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新型コロナウイルスの影響で、就学援助の申請期間を5月中旬~末頃まで延長している自治体が多いです。
こちらも、
・ いつまで延長されているか
は自治体によって違いますので、ご確認ください。
申請期間が延長されている場合には、延長されている締切日までに申請すれば、4月からの認定とされるケースが多いようです。
支給条件に当てはまる人は意外に多い
文部科学省のホームページによると、就学援助の対象者は、
a. 要保護者
生活保護法第6条第2項に規定する要保護者(平成30年度 約11万人)
b. 準要保護者
市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者 (平成30年度 約126万人) 【認定基準は各市町村が規定】(引用元:文部科学省)
となっているため、非課税世帯のみが対象のように感じられるかもしれません。
けれど実際には、持ち家で3人の世帯では200万程度の所得があっても就学援助の対象となる自治体もあります。
借家なら所得制限の上限も高くなる
持家で3人世帯の場合には、200万円程度の所得が就学援助を申請するための上限だったとしても、借家であればプラス50万以上の上限となることも多いです。
つまり、借家であれば250万程度の所得があっても、就学援助の対象となる可能性があるということです。
所得がある場合の申請方法
所得がある場合には、就学援助の申請用紙に記載してある「就学援助の対象となる方」の条件に当てはまらないと感じることもあるかと思います。
その場合は、「その他、経済的に困っている方」というような項目をみつけてチェックし、申請すれば大丈夫です。
コロナが原因で収入が減少した場合の申請方法
今回の新型コロナウィルスの影響で就学援助の申請を考えている人は、「所得がある場合の申請方法」と同じような項目にチェックして申請するようにしましょう。
チェックする項目は、「その他、経済的に困っている方」というような項目です。
また、普通に提出するのではなく、事前に、各自治体に設置されている就学援助の問い合わせ窓口に電話し、新型コロナウイルスの影響で申請することを伝えましょう。
そして、必要な書類や提出するときの手順などを聞くようにします。
新型コロナウィルスで収入が減少した家庭への対応として、前年度の収入ではなく、現状をみて判断をするという自治体がほとんどです。
基本的に準備するものは、前年の課税証明書と、コロナの影響を受けて収入が減少したとわかる収入証明書(毎月の給料明細など)や自営業の場合は通帳のコピーなどが必要です。
課税証明書は前年の収入を知り、今年の収入がどのように減少しているかを判断する大きな材料になりますので、提出するよう言われた場合には必ず準備するようにしましょう。
ダメ元でも申請しておこう
条件や自治体によっては、いちど申請が通ると、次年度以降は就学援助の手続きをせずに認定を受けられるようなケースもあります。
学校への給食費の支払いなどが厳しそうだと感じる場合には、ダメ元でも申請してみることをおすすめします。
収入が減ったら「就学援助」の申請を忘れずに
就学援助は、入学や新学期直後に申請書をもらって4月末に締切日という自治体も多いですが、実は年度途中でも申請できる自治体がほとんどです。
残念ながら、締切日を過ぎてしまうと4月からの認定は難しくなりますが、申請月の翌月からは認定してくれる自治体も多いです。
最初から諦めてしまわず、実際に収入が減っている場合や減ることが確実である場合には、管轄の教育委員会へ問い合わせて就学援助の申請について尋ねてみましょう。(執筆者:山内 良子)