新型コロナウイルスの影響は大きく、とりわけ大学生を取り巻く状況は厳しくなっています。
学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE京都」によると、学生の約7割がアルバイト収入がなくなったり減ったりしていると回答しました。
保護者の収入減も加わり退学や休学を考えている学生は24.7%、なんと4人に1人というつらい現実が見えてきました。
緊迫した学生の2つの「ない」状況を打開するために、使える対策をご紹介します。
参照:高等教育無償化プロジェクトFREE京都
執筆内容については令和2年5月10日時点のものです。
奨学金や支援金の内容については、未定のものが多くありますので、利用する前に必ず担当部署にお問い合わせください。
目次
1. 学費
給付型奨学金を検討する

授業料の減免を求める声も聞こえますが、実際大学の前期学費の納入期日は5月末であることが多く、現実的に今すぐ減額されることは難しく思われます。
そこでまず始めに、2020年4月から始まった高等教育の修学支援新制度が利用できないか検討してください。
給付型に該当すれば、返済不要です。
この制度では、授業料や入学金の免除または減額と給付型奨学金の2つのサポートをうけることができます。支援金額の一例は以下の通りです。

参照:文部科学省
この金額は、
・ 世帯収入
・ 専門学校や短大、大学など進学先の学校の種類
・ 自宅通学か否か
などによって変わります。
まずは所属している学校が対象になっているか文部科学省の「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」で確認し、個々の家庭の状況から、日本学生支援機構で「シミュレーション」をしてください。
通常奨学金は申請の期間や給付時期が一定時期に限られていますが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、当分の間は申請日の属する月から支給開始できるよう運用が拡充されています。
給付型が該当しないとき
できるだけ借りることを避けるため、延納や分納ができないか大学ホームページで確認するか、学生課に問い合わせてください。
例えば立命館大学では、手続き不要で春学期の納付期日を7月31日まで延長しています。
借りるなら、金利が安くセーフティーネットもあるJASSOの奨学金

JASSO(日本学生支援機構)の奨学金は、無利子の第一種奨学金のほか、有利子の第二種奨学金でも利率が0.157%(令和2年4月貸与修了者の基本月額分、利率固定方式)と安く、先々もし返済に困ったとしても減額返還や返還期限猶予といった救済措置があります。
ただし大学の受給できる金額は月額振込で、最大でも第二種奨学金の月12万円です。
学費に充てるとなると積み立てて残していく必要がありますから、借りるには十分検討することが大切ですが、早く決断することも必要です。
自治体からの援助もはじまる
兵庫県明石市では、市内在住の大学生や高専、定時制高校の生徒らを対象に新型コロナウイルスの影響から振込期限が5月末までの学費が払えそうにないとき、最大50万円を無利子・無担保です。
卒業後5年以内に返すという条件つきですが、在学中は返済猶予されます。
参照:明石市社会福祉協議会
大学からの支援
大学でも支援が始まっていて、現在最も多いのは、オンライン授業に対する施設整備費として支給されるものです。
金額ベースでみると1万円~10万円と大学によって幅があり、
・ 獨協大学
・ 愛知学院大学
・ 東京音楽大学
などの大学では、全学部生に向けオンライン授業に対する施設整備費として10万円を給付します。
一方困窮者に向けた経済支援としては、慶應義塾大学はおよそ1300人を対象に最高年40万円まで、大正大学は最大30万円、同志社大学は最低30万円を申請後承認した学生に給付すると発表しています。
加えて多くの私学には、独自の奨学金制度があります。
貸与型ですが近畿大学のようにこれまで対応していた近畿大学応急奨学金(60万円無利子)に新たに学コロナ対策緊急奨学金の新設(20万円無利子)するケースも見られます。
2. 収入
アルバイトの広がり
現代の大学生にとってアルバイトの激減は、それこそ死活問題です。
大阪府では経済状況が悪化した大学生等を対象とした非常勤職員が緊急雇用されます。
期間は採用日から令和2年6月下旬と短いですが、交通費は別途支給され時給972円相当(令和2年4月1日現在の金額)ですから、勉強もしながら1日4時間14日分働ければ5万4,432円になります。(現在募集中止です。)

コロナの影響で必須となりはじめたオンラインをアルバイトに活かせる場があります。
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休学は慎重に
追い詰められ、休学を考えているご家庭もあるかもしれません。
休学すると授業料は免除される大学もあれば、一定額支払わなければならない場合もあります。
JASSOを利用している方はご注意ください。
奨学金の貸与は、休学中は休止しなければなりません。
今が踏ん張りどき、情報収集しよう
5月8日、政府は経済的に困窮している大学生らに対し、現金を給付する方向で検討をはじめ、アルバイトがなくなった大学生を子どもの学習をサポートする学習指導員として活用する案が浮上しているというニュースが報道されています。
あきらめるのはまだ早い!使える手段がないか、情報を集めましょう。(執筆者:吉田 りょう 監修:社会保険労務士 拝野 洋子)