新型コロナウイルス感染拡大防止で多くの学校が休校期間を延長しています。
大学生、短大・専門学校生のみなさんの中には「せっかくのキャンパスライフが台無し」と感じいる人もいることでしょう。
さらには、「両親の収入が激減したから」あるいは「アルバイトがなくなってしまったから」退学しなければならないと考える人がいるかもしれません。
しかし、早急に結論を出さないでください。
退学してしまうと元に戻ることはできません。
将来復学するというのも現実的には簡単ではありません。
もちろん、新しい夢を見つけたことによって前向きな気持ちで退学するのであれば話しは別なのですが、「お金が原因」で退学することは少し待ってください。
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目次
学生がお金に困ったらまずすべきこと
お金に困った際に最初にするべきことは決まっています。
ということです。
指導を仰いでいる研究室の教授に相談するという人もいるかもしれませんが、教授や講師は授業料関連の話しには詳しくありません。
お金に関する相談は、大学の事務に相談するようにしましょう。
学校によって呼称は異なるでしょうが、どこで相談してよいのか分からない場合には、「学生相談室」に近い名前の部署を探しましょう。
「学生課」あるいは「厚生課」といった部署が担当しているかもしれません。
しかしながら、新型コロナウィルス対策で学内に入ることができない人も多いと思います。
メールや電話で相談する場合にも、上記の名前を挙げることで適切な窓口を紹介してくれるはずです。
今の大学には救済の仕組みが整っている
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なお、ご両親に「大学に相談してみる」と言った場合に「無駄だからやめておけ」と止められてしまうかもしれません。
ご両親の時代の大学は「サービスが悪かった」からです。
しかし、今は時代が違います。
少子化にともない大学側は1人でも多くの学生に受験してもらい、1人でも多くの学生に通い続けてもらいたいと考えているのです。
そのような背景から、困っている学生がいれば何とかして助けようという仕組みが整っているのです。
最近は、
とも言われています。
緊急時に利用できる制度
さて、相談ができてもお金の問題、つまり授業料を払うことができなければ悩みは解決しません。
現在、国会でも大学生を守るための施策が種々検討されていますが、それらをすがる思いで待っている人もいることでしょう。
しかし待つ必要などありません。
すでに、困った際に緊急に利用できる制度があるからです。
それが、日本学生支援機構の奨学金です。
そうは言っても、「すでに奨学金を借りていて、これ以上の借金を増やすのは嫌だ」と言う人もいることでしょう。
そのような人ほど、あらためて確認していただきたいのが、
です。
どちらも、家計の厳しい世帯が対象ですが、入学当時は家計に余裕があってその対象とならなかった人も多いことでしょう。
この「家計の厳しい世帯」を簡単に説明すると、
のことです。
「ウチはお父さんが結構稼いでいたから無理だろうなぁ」と考えて貸与の奨学金(第1種・第2種)の奨学金を申し込み、奨学金を借りている学生も多いはずです。
そのような人でも、ご両親の収入が激減し、採用基準を満たした場合は、返還不要の給付奨学金を申し込めるのです。
もちろん、学力基準もあるので、誰もが採用されるという訳ではありませんが、申込手数料がかかるものではないので、まずは検討してみましょう。
【例】父(会社員)、母(パート)、本人(私立大学生)、高校生の弟または妹
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※万円未満を四捨五入
この表の数値は、一例として示しているものなので、家族構成等によっても異なります。
より詳しくは日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで確認してみてください。
加えて、収入の他にも資産を基準とした資産基準というものもあり、ある程度の金融資産を有する家庭の人は支給対象にはなりません。
なお、進学資金シミュレーターは年収をベースに計算するため、今回のコロナショックによる家計急変には対応していません。
よって、「採用基準を満たしているか」を確認する前に、まずは在学中の学校で「家計が急変したので、給付奨学金や授業料減免を利用したい」と相談しましょう。
いろいろな選択肢を考える
給付奨学金等の採用が難しい場合には、貸与の奨学金を増額するという選択肢もあります。
ただし、在学中の学校が日本学生支援機構の貸与奨学金登録校となっていなかったり、授業料減免の認定校となっていないケースも考えられます。
絶対に支給されると断言できるものではないのでご注意ください。
また、給付奨学金に採用された以降に家計が回復した場合には、支援区分が変わり給付額が変わるといったこともあります。(執筆者:CFP、1級FP技能士 小山 信康)