新型コロナウイルスの感染拡大により、4月16日に非常事態宣言が全国的に発出されました。
飲食店、小売店は営業自粛、映画館は休業、コンサートなども開催できない状況が続いています。
非正規雇用者は契約終了、正社員でも残業の減少、解雇など、収入が大きく減った人も多いと思います。
賃貸の場合には住宅確保給付金などの家賃補助制度がありますが、資産があるという観点から住宅ローンの返済に関しては金銭的な補助はありません。
収入が減って生活が困るのは持ち家の方々も同様です。
今回は、コロナショックで住宅ローンが払えなくなった際の対処法についてお話しします。
目次
コロナショックによる相談は急増

長引く新型コロナウイルスの影響で収入が減り、住宅ローンの返済に困る人が急増しています。
住宅ローンの「フラット35」を取り扱う住宅金融支援機構へのコロナショックによる相談は、3月は約200件、4月は1,200件にのぼりました。
5月末まで非常事態宣言が延長されたこともあり、5月にはさらに増えることが予想されます。
住宅ローンの支援制度
住宅ローンの返済に関する相談が急増したこともあり、さまざまな支援制度が発表されています。
フラット35の返済特例制度
住宅金融支援機構は、4月中旬に住宅ローンの返済特例制度を新型コロナにも適用すると発表しています。
コロナウィルスの影響で住宅ローンの返済に困った場合には、
・ ボーナス返済の停止
などの措置を受けられます。
完済時の年齢が80歳までなので、期間の延長は年齢の制限を受けます。
なお、失業者であれば、借入金の元本返済は最長3年間据え置きが可能です。
フラット35は住宅金融支援機構と一般の金融機関が提携して融資をしており、連携を取って対応してくれます。
金融機関の住宅ローン支援
金融機関の住宅ローンの支援についても、随時発表されています。
各金融機関によってさまざまですが、
・ 手数料なしで条件変更をする
・ 一定期間金利のみの返済を認める
などの対応を始めています。
住宅ローンの返済に困ったら

コロナショックで住宅ローンの返済に困った際の対処法としては、まずは、借りている金融機関への相談です。
先ほど紹介したように、住宅金融支援機構、各金融機関もこの非常事態なので柔軟に対応してくれます。
取れる主な対応としては、
(2) 金利のみの支払いにしてもらう
(3) 金利交渉をする
の3つです。
(1) 期間を延長する
期間を延長すれば毎月の返済額を減らせますし、ボーナスがなくなった場合でもボーナス払いを停止すれば支払いを先送りできます。
(2) 金利のみの支払いにしてもらう
金利のみの支払いにすることで、毎月の返済額を減らせます。
(3) 金利交渉をする
金利交渉については、受けてくれる金融機関は少ないと思いますが、通れば全体の支払いを減らせるので非常に有効です。
変更時の手数料は交渉を
期間の延長、金利の変更など条件を変更する場合には、通常であれば変更手数料がかかります。
現在は、変更手数料を無料としている金融機関も多いので、変更する場合にはきちんと交渉してください。
将来のことを考えて売却も
金融機関と交渉し、住宅ローンについて期間の延長、ボーナス払いの中止、金利のみの支払いを受けてもらえれば一時的にしのぐことはできます。
しかし、住宅ローンの支払い期間を延長すると結果として支払総額が増えます。
今後、勤務先の会社が順調に回復して行けばよいのですが、アフターコロナに在宅勤務が増えて事務所の規模が縮小するといったことも考えられます。
そうなると残業が減り、最悪の場合にはリストラも考えられます。
将来的に住宅ローンの支払いが負担になると考えられる場合には、マイホームの売却も検討すべきです。
苦労して購入したマイホームを手放したくはないと思いますが、家族への将来の負担を考えると売却を選択した方がよい場合もあります。
あらゆる手段を使ってこの危機を乗りこえることが先決ですが、今回のコロナショックをきっかけに、将来設計を見直してみることも大切です。(執筆者:宅地建物取引士 山口 智也)