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値動きは予測できない

株式投資をする人の多くは、サヤ取りのように2銘柄のペアの価格差で利益を得るのではなく、1銘柄の上げ・下げによって利を取ることを目指しています。
この場合、投資する銘柄の値動きに対し、何らかの予測をもって投資するのが普通です。
例えば、「全体的に相場が強いから上がる」と思えば、トレンドに乗って利益を取るべく買うでしょうし、今回のコロナショックのように「全般に弱気なので下がる」と思えば売るでしょう。
ほかにも、金利や為替など、株価に影響を与えるとされるさまざまな材料をもとに買い・売りを判断するわけですが、これらは全て未来の値動きを予測して売買するものです。
しかし、このような予測が当たるとは限りません。
当たらない場合も多いです。
そもそも、一般的に上がる・下がるといわれる材料をもとに投資するだけで利益が得られるならば、投資は簡単なものとなるでしょうし、わざわざサヤ取りをする必要もないはずです。
値動きの予測は難しく、それができないからこそ投資は難しいです。
サヤの予測はもっと難しい
1つの銘柄に投資するときでさえ、値動きの予測は困難です。
サヤ取りは2銘柄のペアを選んで投資するので、ペアに選んだ2銘柄の値動きを予測し、銘柄間のサヤを予測するのはもっと難しいと考えるべきです。
しかし、サヤ取りを始めたばかりの人は、これまでひとつの銘柄に投資してきたときの癖で、どうしても予測しがちです。
例えば、拡大したサヤの縮小によって利益を取る場合に、サヤは大きければ大きいほど多くの利益が得られるため、「サヤが開いたが、まだ開くだろう」とサヤの開閉を予測してしまいます。
これからサヤ取りを始めようと考えている人は、このような間違いに陥らないよう注意が必要です。
予測によって損失リスクが高まる

繰り返しになりますが、1つの銘柄の動きを予測することさえ困難なので、サヤ取りで2銘柄の動きを予測し、今後のサヤを見通すことはほぼ不可能です。
このような予測をすれば、「まだ開くだろう」と予測したサヤが縮小に向かったり、「まだ閉じるだろう」と予測したサヤが拡大に向かったりして、サヤ取りがうまくいかなくなります。
縮小を取る仕掛けでは、仕掛けの段階でサヤが狭いほど不利になり、拡大を取る仕掛けでは、仕掛けの段階でサヤが広いほど不利になってしまいます。
予測通りにいかず、サヤが不利に展開したときには、黙って見送るべきです。
しかし、「より多くの利益を得たい」という欲望からサヤを予測しているため、サヤが予測に反する動きを見せたとき、利益を得るために慌てて追従し、不利な条件で仕掛けてしまうことが多いです。
その結果、本来得られていたはずの利益は少なくなり、損失のリスクも高くなってしまいます。
「値動きを予測する」という習慣をすてる
サヤ取りを始めるにあたっては、「値動きを予測する」というこれまでの習慣をすてることが大切です。
過去のデータからサヤの傾向を調べ、「このペアのサヤは大体こう動く」というイメージを持ったならば、あとは予測することなく仕掛けるようにしましょう。
時には予測した通りになることもあるかもしれませんが、長期的に見れば予測しないほうがうまくいきます。(執筆者:兼山 艮)