今まで「花形」だった株主優待の人気が落ちたり、企業が株主優待制度の内容を再検討したりと、株主優待の価値や内容が見直されています。
コロナ禍でも株主優待を楽しむには、株主優待の利便性や必要性を考慮した上での株式投資が重要です。
今回の記事では、コロナ禍によって変化した株主優待事情と、今後の株主優待投資の注意点についてご紹介します。
目次
外出自粛で買取価格が落ちた株主優待券
チケットショップでの買取価格が落ちているものがあります。
新幹線や飛行機、映画、美術展などのチケットです。
外出自粛で交通機関の切符やイベンド系チケットが売れなくなってきているため、買取価格が下落しています。
航空会社の優待券は半額以下に

特に影響が大きいのが、航空会社の株主優待券です。
国内線が割引運賃で利用できるため、普段ならば大人気の航空会社系株主優待券ですが、コロナ禍で事情は一変しました。
人の移動が激減したため、販売価格・買取価格どちらも通常の半額以下に落ち込んでいます。
2020年5月現在、オンラインでのチケットショップで販売価格を確認したところ、2020年11月30日期限の株主優待券で、
・ JAL:1,800円
でした。
普段ならば3,000~5,000円で販売されているANAやJALの株主優待券が半額以下になってしまいました。
株主優待券を転売していた投資家にとって大きな誤算です。
株主優待を「未定」とする企業も
さらに、株主優待を「未定」とする企業も出てきました。
JASDAQ上場の株式会社KeyHolder(4712)の株主優待は、SKE48を中心としたアイドルグループのライブ招待券です。
ライブはアリーナ級の会場で行われる大規模なもので、保有株数に応じて席種の異なるライブ招待券が株主に配布されます。
次回の株主優待の権利は2020年6月ですが、現時点では株主優待の内容が「未定」とのことです。
新型コロナウイルスの感染症対策のことを考えると、たくさんの株主を招待するイベントは厳しいのかもしれません。
株主優待銘柄を選ぶときの注意点
コロナ禍の今、株主優待を目的に株式投資をする際の注意点を2つあげます。
1. 情勢に左右されない株主優待をねらう

金券を配布する株主優待は、時代の影響を受けにくいという良さがあります。
QUOカードや商品券は、取り扱い店舗も多く、現金代わりに利用でき、どのような情勢下でも使いやすい株主優待です。
6月に株主優待権利が確定する銘柄では、ツカダ・グローバルホールディング(2418)やムゲンエステート (3299)などの株主優待がQUOカードです。
また、コロナ禍でも売上が伸びている銘柄の株主優待も注目です。
たとえば、日本マクドナルドHD(2702)の2020年4月の既存店売上高は前年同月比+6.5%増でした。
客数はマイナスだったものの、テイクアウト利用で客単価が増え、売上高増につながりました。
日本マクドナルドHDの株主優待は、マクドナルドの優待食事券です。
お持ち帰りサービスが定着しているマクドナルドならば、コロナ禍でも株主優待の価値が下がる心配はなさそうです。
2. 自分が使う株主優待をねらう
株主優待を追いかけるがあまり忘れがちですが、「自分が使う株主優待をねらう」という点も大切です。
「気がつけば期限が切れていた…」
株主優待のお得さにひかれて過剰に投資した結果、利用できないほどの株主優待を抱え込んでしまうこともあります。
自分が使える分だけの株主優待をねらうようにしましょう。
株主優待は銘柄選びを慎重に
根強い人気だった航空会社の株主優待券が値下がりしたり、株主優待イベントが廃止になったり、株主優待事情にもコロナウイルスの影響が出ています。
株主優待目的で株式投資をする場合は銘柄選びを慎重にし、企業のIRページで最新の株主優待情報を得てから投資するようにしましょう。(執筆者:安田 小夏)