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基本は同じ株数で
サヤ取りでは、「銘柄間の価格差=サヤ」の動きが分かりやすいふたつの銘柄を選び、サヤの動きによって利益を得ます。
基本的なサヤ取りでは、仕掛ける銘柄の株数を合わせることがポイントです。
これは、株数に変化をつけてしまうと、利益が目減りする、損失を被るなどのリスクがあるためです。
リスクの具体例

株数に変化をつけることで生じるリスクを、具体的に見てみましょう。
例えば、サヤが0円~200円で動いているペアでサヤ取りする場合、
・ 銘柄A:1,000円
・ 銘柄B:1,200円
・ サヤ:200円
ならば、サヤの縮小で利益を得るために、銘柄Aを買い、銘柄Bを売りとします。
このとき、どちらも100株で仕掛け、
・ 銘柄A:950円
・ 銘柄B:950円
・ サヤ:0円
となったとき、銘柄Aで50円の損失、銘柄Bで250円の利益、差し引き200円の利益が得られます。
ところが、銘柄Aを300株の買い、銘柄Bを100株の売りというように株数に差をつけると、
となり、利益が目減りしてしまいます。
思うようににサヤが縮小しないとき
実際のサヤ取りでは、
・ 銘柄A:900円
・ 銘柄B:1,050円
・ サヤ:150円
となるなど、思ったようにサヤが縮小しないこともあります。
この場合、
となり、損失のリスクが生じます。
このようなリスクを避けるために、基本的なサヤ取りではペアとなる銘柄の株数を合わせるのです。
変則パターンもある

ただし、サヤ取りに慣れてくると、利益を伸ばすために株数に差をつける変則パターンを使うことがあります。
ペアとする銘柄のうち、売るべき銘柄が高値圏にある、あるいは買うべき銘柄が底値圏にある場合には、仕掛ける株数に変化をつけることがあるのです。
変則パターンの具体例
上記の例と同じく、サヤが0円~200円で推移するペアで考えてみましょう。
・ 銘柄A:1,000円
・ 銘柄B:1,200円
・ サヤ:200円
となっており、「銘柄Aを買い・銘柄Bを売り」でサヤの縮小を取ろうとするとき、銘柄Bが高値圏にあったとします。
例えば、銘柄Bの過去の値動きを見たとき、1,200円前後から大きく値上がりしておらず、反発・下落する傾向があるといったケースです。
この場合、
という傾向に加えて、
と考えられます。
このような場合に限って、銘柄Bの株数を多くする変則パターンが可能となります。
すなわち、銘柄Aを100株の買い、銘柄Bを300株の売りとし、
・ 銘柄A:1,050円
・ 銘柄B:1,050円
・ サヤ:0円
となれば、
の利益が得られます。
どちらも100株で仕掛けたときの利益は200円ですが、銘柄Bの株数を増やしたことで利益を伸ばすことができました。
変則パターン実践のためにも基本に慣れる
このような変則パターンを実践するには、基本的なサヤ取りに慣れることが欠かせません。
基本のサヤ取りに慣れてきたら、変則パターンにも挑戦してみてください。(執筆者:兼山 艮)