立地に強いマンションは、売買しやすいのが1つの魅力です。
実際、現在マンションに住んでいるけれど、いつか売却することも視野に入れている人も多いのではないでしょうか。
しかし、意外と知られていないのが、マンション売却にあたっては手数料や税金などの諸費用が想像以上にかかります。
そこで、今回はマンション売却時にかかる諸費用には、どんなものがどれぐらいかかるのかについてまとめてみました。
事前にどれぐらいの諸費用が必要となるのか把握できていれば、売却額の決定にも役立てられるはずです。
将来に備えて今からしっかりチェックしておきましょう。
目次
意外と高額「不動産業者への仲介手数料」
マンション売却時にかかる諸費用として代表的なものが、「仲介手数料」です。
これは、広告掲載や顧客への商談・セールスなどを代行して行ってくれた不動産会社に報酬として支払うものであり、いくつかある諸費用のなかでも大きな割合を占めています。
では、どれぐらいの金額を仲介手数料として支払う必要があるのでしょうか。
次の表を見てください。
こちらは宅建業法において定められている仲介手数料の上限です。
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この計算法を用いて2,000万円のマンションを売買した場合です。
となります。
ここに10%消費税が加算されるので、72万6,000円となるわけです。
仲介手数料だけでも、かなりの費用がかかることが分かります。
ここで気を付けておきたいポイントは、
・ 売買契約が成立しなければ、仲介手数料は支払わなくてよい
仲介手数料の上限は定められてはいるものの、下限額については決まりがありません。
そのため、大手の不動産会社では上限額で設定しているところが多いですが、交渉によっては値引きしてもらえる可能性もあります。
そのほか、不動産会社によっては、あらかじめお得に設定しているところもあるようです。
仲介業者が決まっていない場合は、選ぶポイントの1つとして仲介手数料にも注目してみるとよいでしょう。
また、仲介手数料は成功報酬となるため、売買契約が成立しなかった場合には支払う必要はない点も覚えておきましょう。
売買契約時に必要となる「契約印紙税」
税金としてかかってくるのが、「印紙税」です。
これは、マンションを売却する際に買主と交わす売買契約書へと貼る印紙のことです。
定められている金額に応じた印紙を貼ることで納税したとみなされます。
印紙税としてどれぐらいの費用がかかるのでしょうか。
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※H9.4.1以降に作成された契約書の場合、税率軽減の措置が適用されていましたが、R2.3.31までとなっています。
マンションの売買金額が500万円より高くなると、印紙税額も万単位でかかることが分かります。
通常、売買契約書は2通作成し、1通は売主の保管用、もう1通は買主の保管用となるため、2通分の印紙税を用意しなければなりません。
この場合、売主買主の双方が負担します。
印紙を貼らずに対応した場合、過怠税として3倍ほどの額が課されることもあるため、注意が必要です。
参考:三井不動産リアルティ、国税庁
司法書士によって差が出る「登記費用」
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マンションを売却する際、登記費用も忘れてはなりません。
登記費用は、主に抵当権抹消と所有権移転登記の2点であり、一般的に売主が負担するケースが多いです。
まずそれぞれの特徴について簡単に確認しておきましょう。
抵当権とは
住宅ローンを組む際に、銀行側がマンションに付けた担保権のことです。
ローンを完済しても自動では消滅しないことから、抹消する手続きが必要となります。
所有権移転登記とは
売買によってマンションの所有権を手放す際に、行わなければならない名義人変更のことです。
基本的に売買の契約が成立したときに行います。
抵当権の抹消と所有権移転登記、手続きするにはそれぞれ税金を支払わなければなりません。
どちらも1,000円程度のものですが、個人で手続きするとなると事前調査などで事後謄本を取得するなど時間や手間がかかってしまいます。
煩雑なだけでなく、とても重要な手続きであることから、司法書士に依頼する人が多いようです。
これらを司法書士に委任した場合、司法書士によっても費用は異なりますが、司法書士に支払う手数料も含め5,000~4万円程度必要となります。
依頼する司法書士は仲介業者が紹介してくれるパターンも少なくありませんが、登記費用を抑えたい場合は手数料を安く設定しているところを自分で探すのも方法の1つです。
ローンを一括返済する際の費用
ローンの残債がある場合には、売却までに完済しておかなければなりません。
そのため、金融機関に一括で繰り上げ返済する必要がありますが、その際には別途手数料が発生します。
銀行や手続きの方法(窓口や電話、ネットなど)によって費用は異なりますが、目安として5,000~2万円程度みておくとよいでしょう。
参考:イエウール
ケースによってはこんな費用がかかることも
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上記で紹介した以外にも、ケースによっては別途さまざまな費用が発生することがあります。
例えば、
・ 部屋の生活汚れが気になる場合は、ハウスクリーニング代
がかかります。
そのほか、マンション売却で利益が発生した場合には、譲渡所得税なども発生します。
これらの費用もしっかり加味しておくことが大切です。
参考:東急リバブル
マンション売却時にスムーズに手続きできるよう備えておこう
今回、マンション売却時に必要となる大まかな項目の費用について紹介しましたが、これらが積み重なるとかなりの額となります。
マンション売却を決めてから慌てることがないように、しっかりと事前に把握しておくことが大切です。
近頃はネット上で費用をシミュレーションできる便利なコンテンツも配信されています。
売却を検討しているのであれば、1度試してみるのもよいかもしれません。(執筆者:吉村 みき子)