住宅取得者の負担を軽減することを目的に、平成26年に創設されたのが「すまい給付金」です。
無事に建物の引き渡しを受け、所定の手続きをすればもらえます。
新しい家に移り住むと、家具や家電の購入など、何かと出費がかさみます。
そのタイミングで給付されるため、該当者にとってはうれしい臨時収入です。
そんなすまい給付金ですが、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「ふるさと納税」を活用すると給付基礎額がアップする可能性があります。
今回はその仕組みについて説明します。
目次
「都道府県民税の所得割額」で決まる給付基礎額

すまい給付金は、消費税が8%のときは、年収510万円以下の人が対象で、給付基礎額は最大30万円でした。
10%になってからは、年収775万円以下まで範囲が広がり、給付基礎額も最大50万円まで増えました。
収入が少ない方ほど優遇される制度です。
ただ、もらえる金額の基準は年収ではなく、支払っている税金です。
正確には、「都道府県民税の所得割額」をいくら支払っているかで決まります。
「都道府県民税の所得割額」は、住民税(市民税と都道府県民税)の一部であり、個人事業主はもちろん、サラリーマンでも減税が可能です。
所得割額が少なければ、段階的により多くの給付基礎額がもらえます。
所得割額を減らす方法として代表的なものが、年々利用者が増加している「iDeCo」と「ふるさと納税」です。
本来、iDeCoは節税対策や資産運用を、ふるさと納税は寄付をすることでさまざまな特産品が楽しめることを目的に活用されています。
これらのもう1つのメリットとして、すまい給付金の給付基礎額を増やすのにも役立つのです。
同じ収入でも給付額に10万円の差が出ることも

具体的にどのような仕組みなのかを解説します。
重要となる「都道県民税の所得割額」の求め方は、
課税総所得金額 × 4%(政令指定都市は2%) = (都道府県民税の)税額控除前所得額
税額控除前所得額 – 税額控除額 = 所得割額
です。
ここで、
・ ふるさと納税:税額控除額を増加させる
という効果があります。
これによって、例えば同じ年収500万円でも、iDeCoとふるさと納税を活用しているかどうかで、消費税10%時の建物であれば、給付基礎額が40万円または50万円と変わります。
もらえる金額に10万円の差が出るのは大きいです。
住宅購入を検討される方は事前に準備を
なお建物の引き渡し時期によって、所得割額の対象が異なります。
・ 7月から12月まで:その年度の所得割額が対象
つまり、iDeCoとふるさと納税は前もって取り組んでいないと効果が出ないので注意が必要です。
これから家づくりを考える方は、まずこれらの活用を検討してみてください。(執筆者:1級FP技能士 椎名 隼人)