「薬なんてどこで調剤してもらっても変わらないでしょ」と思っていませんか。
実は、同じ効き目の薬でも薬局選びや調剤方法など、ちょっとしたことで値段が変わるのです。
今回は、なかなか分かりにくい処方薬の値段をお得にする方法について、分かりやすく解説しましょう(記事に登場する金額は、3割負担の場合です)。
目次
1. ジェネリック医薬品なら新薬の半額以下も

新薬(先発品)の特許が切れた後、同じ有効成分を使って他の製薬会社が製造・販売する医薬品を「ジェネリック医薬品」と言います。
血圧を下げる薬(一般名:アムロジピンベシル酸塩)を例に挙げると、
【新薬】ノルバスク:1錠40円
【ジェネリック】アムロジピン:1錠20円
と、ジェネリック医薬品の薬価は新薬の半額です。
血圧を下げる薬は毎日服用するものですので、年間2,000円以上は違ってきます。
ただし、ジェネリック医薬品のない新薬もありますし、調剤薬局にジェネリック医薬品を置いていないこともあります。
まずは、お医者さんに「ジェネリックにしてください」と言ってみてください。
2. 複数の外用薬を事前に混ぜてもらわない
軟膏などの外用薬を複数処方された場合に、いちいち1つずつ塗っていくのは面倒なので、事前に混ざった状態で調剤されていると便利です。
ただし、複数の薬剤を計量して混ぜた状態で調剤してもらうと「計量混合調剤加算」が発生します。
混ぜる薬の種類によって計量混合調剤加算の料金が異なり、特に軟膏は約240円と高いのです。
複数の軟膏が処方されても、塗り方・塗る順番などは薬剤師さんが教えてくれるので、必要ない方は計量混合調剤をしないようにお医者さんにお願いしましょう。
3. 複数の薬の1回分をまとめて1袋にしない

何種類かの薬を1度に服用する際や服用時期が同じ薬を服用する際に、まとめて1袋にしてもらうことを「一包化」と言います。
飲み忘れや飲み過ぎ、薬の紛失の可能性がなくなるので便利です。
しかし、一包化を調剤薬局にお願いすると、別途「一包化加算」が発生します。
その料金は日数によって異なり、28日分の薬を一包化する際の一包化加算は約380円です。
一包化をしなければ節約できますので、自分で薬を管理できる方はお医者さんに「一包化しなくても大丈夫です」と言いましょう。
4. 処方せんをどこに持って行くかで値段が異なる
病院で発行された処方せんを、どこの調剤薬局に持って行くかで料金が異なります。
調剤薬局は立地条件などによって次の4つに分類されます。
【院内薬局】病院建物の中にある薬局
【門内薬局】病院建物の外にあるが敷地内にある薬局
【門前薬局】病院敷地外にあるがすぐ近くにある薬局
【一般薬局】病院から離れた場所にある薬局(ドラッグストアなども含む)
かつては院内薬局が一般的でしたが、医薬分業の流れに乗ってそれ以外の薬局も増えてきました。
門内薬局・門前薬局が安い

調剤してもらう際に必ず発生するのが「調剤基本料」です。
調剤基本料は、薬局の処方せん受付回数が多く、特定の医療機関の処方せんが占める割合が多いと安くなります。
院内薬局・門内薬局・門前薬局が最安の部類に、街中の薬局が最高の部類に入り、最高と最安では約60円の差があります。
5. ポイントが貯まる調剤薬局もある

特にドラッグストアでは、有利な点があります。
薬を処方してもらう間に買い物できますし、処方薬以外の薬も購入可能です。
キャッシュレス決済が可能で、そのポイントも貯まります。
スギ薬局など、調剤にもポイントカードのポイントが付くドラッグストアがあります。
6. 夜間・休日には行かない
ドラッグストアは休日も夜遅くまで営業していて、処方せんを受け取るにも便利です。
しかし、次の時間に来店して調剤をお願いすると、約120円の「夜間休日等加算」が発生します。
【平日】0時~8時、19時~0時
【土曜日】0時~8時、13時~0時
【日曜日・祝日・年末年始(12/29~1/3)】終日
できる限り、平日の日中に行くようにしましょう。
7. ジェネリックを多く調剤している薬局は高くなる
ジェネリック医薬品を多く調剤している薬局では、調剤基本料に「後発医薬品調剤体制加算」が70円加算されます。
利用者がジェネリックを希望するか否かは関係ありません。
8. お薬手帳を持って行く

病院に行く際には、健康保険証・診察券・お金とともに、お薬手帳も欠かせません。
万が一のことがあっても、お薬手帳があれば服用している薬がすぐに分かって便利です。
お薬手帳に薬剤の情報を記録する際には「薬剤服用歴管理指導料」が発生します。
この料金、お薬手帳を持参すると約110円、持っていない場合は約150円かかり、お薬手帳を持って行くと約40円お得です。
門前薬局や薬局チェーンなどは、お薬手帳の有無で薬剤服用歴管理指導料に差はありませんが、やはり忘れずに持参しましょう。
9. かかりつけ薬剤師を持たない
最近、「かかりつけ医」が広まっていますが、それと同時に「かかりつけ薬剤師」も増えています。
一定の要件を満たした薬剤師を自分のかかりつけ薬剤師にすることで、
・ 同じ薬剤師が担当するので体調変化などを把握してもらいやすい
・ 休日や夜間でも相談を受け、アドバイスしてもらえる
・ 残薬や飲みにくい薬がある際、相談して調整してもらえる
などのメリットがあります。
ただし、「かかりつけ薬剤師指導料」が発生します。
通常は約110円または約150円なのですが、かかりつけ薬剤師を指名すると料金は210円です。
かかりつけ薬剤師を利用しない人は、かかりつけを持たなくても構いません。
安全・安心を重視して、お得になろう
今回は、普段あまり意識しない「処方薬をお得にする方法」を紹介しました。
1つ1つは微々たるお得ですが、定期的にお世話になる人も多いのでチリも積もれば山となることでしょう。
ただし、一包化をケチったばかりに薬を飲み間違え、体調を崩して医療費がかさんでは本末転倒です。
あくまでも自分の体の安全・安心を第1に考え、そのうえでお得を享受しましょう。(執筆者:角野 達仁)