1年のうちで夏場の電気料金が最も多いというご家庭も多いことでしょう。
家庭用の夏場の電力使用量のうち、約6割を占めるのがエアコンの使用量です。
年間を通して最も電力を消費している冷蔵庫も夏場の消費電力が多くなります。
今回は、エアコンと冷蔵庫に焦点を当てた「夏場の電気料金を抑えるためにできること」を紹介したいと思います。
目次
確認1:自宅の環境を知る
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ご自宅の環境はいかがでしょうか。
・ 日当たりの良い立地や西日が強く当たる建物であれば日差しを遮る工夫
・ 最新の高気密住宅であれば断熱性能と換気システムを活かして空調を活用
・ 昔ながらの日本家屋であれば風通しをよくして熱気がこもらないようにする
など、日本の住環境は多岐にわたっていますので、それぞれの家屋に合った省エネ方法を検討する必要があるのです。
・ 帰った時に窓を開けて部屋中の熱気を外に出す
・ 夜になって外気温が下がればエアコンを止めて外気の涼しい空気を取り込む
などの工夫も可能です。
確認2:外部から熱の流入を止める
夏場の省エネ対策では、断熱、気密、日射遮蔽、通風が4つの柱です。
住宅性能に左右されるもの以外では日射遮蔽が重要です。
夏期に室内に流入する熱のおよそ7割が窓などの開口部であり、家の内側で日射を遮るよりも、できるだけ外側で遮るほうが効果的です。
たとえば、室内のレースカーテンよりも遮光カーテン、断熱ガラスよりもよしずや緑のカーテンといった具合に室内から離れた個所での対策が肝要です。
確認3:エアコン周りの点検
ダイキン工業のホームページによると、夏場は点検・修理の問い合わせが集中して作業に訪問できないことが増えるそうです。
夏本番を迎える前にエアコンの試運転をおすすめします。
試運転の方法はいたって簡単で、冷房モードにして設定温度を最低にし、そのまま10分ほど運転するだけです。
冷気を発生させるために必要なガスなどが補足している時は、冷たい風が出ない、または異常を知らせるランプやエラー表示が点灯します。
異常がなければそのまま20分程運転を続け、室内機からの水漏れや異音・異臭が発生しなければ試運転は終了です。
屋外にある室外機については、空気の流れを遮らないように周囲に物を置くのはやめましょう。
また、室外機カバーを掛けている場合には室外機の放熱を妨げてしまう恐れがありますので、必ず外したうえでエアコンを使用しましょう。
他にはエアコンの効率を落とさないよう2週間に1回程度はフィルターの清掃をすることや、設定温度は28℃を目安として室内の温度が高くなりすぎないよう自動運転もおすすめです。
確認4:扇風機やサーキュレーターの準備

エアコンから出た冷気が部屋の低い箇所に溜まり、天井付近に暖かい空気が溜まると、足元は冷たいのにエアコンはさらに温度を下げようとして冷たい空気を吐き出すので多くの電力を消費します。
最新のエアコンには、冷風とは別に風を起こして空気を撹拌する機能を持った製品もありますが、おすすめは扇風機やサーキュレーター(空気循環器)をエアコンと同時に使用することです。
風の流れを感じると体感温度が下がって涼しく感じ、設定温度を無理なく上げられます。
確認5:冷蔵庫の最適な使い方について知る
年間では冷蔵庫が全体の14.2%と家庭における電力消費量のトップです。
なかでも特に増えるのが夏場の使用量です。
夏場の誰もいない室内の気温は住人がいてエアコンを使用している時よりも上昇しており、冷蔵庫は電力を消費しているのです。
夏場に外出する際はできるだけ日差しが入らないように工夫し、室温を上げないことが重要です。
可能であれば冷蔵庫の設置場所を直接日の当たらない部屋にすることや、冷蔵庫と壁の距離を適切に離して放熱を妨げないことも大切です。
冷蔵庫の一般な省エネ方法としては、
・ 冷蔵室は物を詰め込み過ぎず冷気が行き渡るようにする
ことです。
冷蔵室とは反対に、冷凍庫は食品同士をきっちりと詰めて開閉の際にも庫内の温度が上がらないようにするとよいと言えます。
参照:省エネルギー庁
工夫1:エアコンの設定温度(約820円節約)
外気温が31℃の時にエアコンの設定温度を27℃から28℃へ1度上げると年間の消費電力が約30kWh、電気料金だと約820円削減できます。
扇風機やサーキュレーター(空気循環器)をエアコンと同時に使用すると体感温度を上げずに設定温度を上げられます。
扇風機などの風は直接人に向けずに天井や壁など上方に向けることで、冷たい空気と温かい空気が混ざり合って部屋中の温度を一定にできます。
循環する風のおかげで広い部屋でも効率的に冷やせるのです。
工夫2:フィルターの清掃(約860円節約)
エアコンの効率を落とさないよう月に1~2回のフィルターの清掃をしましょう。
フィルターが目詰まりしているエアコンとそうでないエアコンを比べたところ、年間で約32kWh、電気料金で約860円の差が出ます。
カビなどの発生箇所になる可能性もありますので、特にシーズンに入る前のお手入れをおすすめします。
なお、フィルターのお手入れ方法の詳細は取り扱い説明書を参照しながら危険のないように行ってください。
工夫3:無駄使いしない(約510円節約)
エアコンの稼働時間が短ければ、それだけ電気料金を節約できます。
設置温度が28℃の場合で、1日1時間稼働時間を少なくすると、年間で約18kWh、電気料金で約510円の節約になります。
夜間は外気温も下がってきますので早めにエアコンを止めて外気を取り込みましょう。
環境省がすすめる「クールシェア」(エアコンの使い方を見直し、涼を分かち合うという考え方)もあります。
工夫4:冷蔵庫と室温の関係(約2,292円節約)
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1人暮らしの方が夏休みに実家に戻っていて、
と感じるのは、夏場の誰もいない室内の気温が普段よりも上昇することで冷蔵庫が電力を消費しているからです。
室温が22℃の場合には約43kWhですが、30℃の場合には約91kWhと、約54%も消費電力が上昇します。
1か月(30日)の電気料金で換算すると約622円の上昇です。
また、冷蔵庫内の設定温度を「強」から「中」に変更すると、年間で約62kWh、電気料金で約1,670円の節約になります。
工夫5:買い替えの効果(約8,748円節約)
エアコンや冷蔵庫の性能は年々向上していますが、特に冷蔵庫の性能は大幅に向上しています。
2007年の製品と2017年の製品を比較した場合、エアコンは約5%、冷蔵庫は約49%もの省エネ化が進んでいます。
年間の電気料金で比較した場合には、エアコンは1,188円、冷蔵庫では7,560円の節約効果があるのです。
前回の購入から10年過ぎていたり、「最近調子が悪いな?」と感じるようなことがあれば、省エネ性能のアップした最新機器への買い替えを検討しましょう。
工夫【実例】:直射日光対策をする
窓から入ってくる直射日光は室内の気温に大きな影響を与えます。
夏場の省エネでは、いかに直射日光をさえぎるかがポイントです。
遮熱の方法としては
・ オーニング
・ よしず
・ すだれ
・ 植物(緑のカーテン)
・ 複層ガラス
・ ブラインド
・ 遮光カーテン
などがあります。
遮熱対策をする際には、窓の内側よりも外側に施すほうが効果的です。
すだれ
今年のわが家では、窓の外にすだれと緑のカーテンを設置しています。
西日があたる窓の外にすだれをぶら下げ、きつい西日が室内に入らないようにしました。
すだれは100均でも購入できます。
設置時の注意点
窓の外側に設置するため、飛ばされないようにしっかりと留め、台風などが予想される際にはあらかじめ外しておくようにしましょう。
高所での作業となる場合もありますので足元にも注意してください。
緑のカーテン
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今年はきゅうり、ゴーヤ、つるありインゲン、パッションフルーツを用意しました。
家庭菜園用のコンテナ(800円)2つ、土(500円)4袋、苗・種(1,000円)、ネットなどで大体5,000円程ですべてそろいました。
元手は多少かかっていますが、すべて収穫のできる野菜・果物でそろえると、省エネ以外の楽しみも増えます。
設置時の注意点
植物なので水やりが大切です。
収穫できる植物の場合には病害虫が発生する可能性がありますので、対策用のスプレーを用意しましょう。
スプレーなどは苗を買ったお店で購入できます。
エアコン室外機の点検
家の外回りで作業をしたついでに、エアコンの室外機付近も確認しましょう。
屋外にある室外機の周りは、空気の流れがさえぎられないよう、雑草を刈りとる・荷物をどかすなど、きれいに片付けるようにしましょう。
また、室外機カバーを掛けている場合には室外機の放熱を妨げてしまう恐れがありますので、必ず外したうえでエアコンを使用しましょう。
これから夏本番を迎えるにあたり、ちょっとした工夫で快適な夏を過ごせたらいいですね。(執筆者:行政書士 風見 哲也)