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コロナ禍の窓口業務の制限と「新しい生活様式」

緊急事態宣言中は、店頭で取扱できない取引がありました。
・ 両替(両替機も休止しております)
・ 金種のある払い出し
*金種とは千円札を30枚など、両替のように指定すること
外出自粛で家の片づけをし、使ってない通帳ができてたと、コロナ禍制限された窓口は混雑になりました。
「今しかできない」という人もいると思いますが、「新しい生活様式」で時間ができても、いきなり銀行に行かずに、銀行との取引を見直してみませんか?
取引とは預金、投資、ローンなど文字通り、銀行と取引しているもののことです。
良い機会ですので、契約書類やお客様控えなどを見直してみてください。
「窓口で進められた投資信託は、どんな内容だったか?」
「わが家の住宅ローンは金利何%か?」
考えて見ると、以外とわからない(忘れている)ことがあるかもしれません。
時間がある今こそ、今だから銀行との取引を見直して見ましょう。
銀行に行くのはそれからでも遅くありません。
住宅ローンを見直そう
普通の人が、1番多く、1番大きい金額を借りるのが住宅ローンです。
家計への影響も大きく、おそらく一生に1度の1番大きく長い借入です。
この機会に自分のローンを見直して見ましょう。
まずは再確認、現状を把握して「今のままで良いのか?」を考え情報を再確認しましょう。
なにか気になる点があったら、銀行に相談するか、他の銀行で借換を考えるのも良いでしょう。
今だから、自分の住宅ローンを見直しましょう
住宅ローンの内容を再確認
自分の住宅ローンで、
「あと何年返済しなくてはいけない?」
「変動金利か、固定金利か」
「金利が何%か」
などを、把握していますか?
毎月とボーナス月に口座からいくら引き落とされるのか把握していなかったり、ローンの残高は年末調整で住宅ローン減税の手続きをするとき銀行からもらった残高証明を見てわかった、といった経験もあるのではないかと思います。
新しい生活様式にあわせて、住宅ローンへの意識も新しくし、銀行から定期的に「残高のお知らせ」、「ご返済明細」などの通知を確認してください。
失くしてしまったなら、銀行に電話(ネットで申込)すれば郵送してくれます。
住宅ローンにはいくつも金利の種類があります。
・ 変動金利と固定金利の併用型
・ 固定金利型
・ 上限金利設定型
変動金利型
変動金利型は、住宅ローンで最も代表的な種類です。
変動といっても毎日変わるわけではなく「変わるときは変わるし、変わらないときはそのまま据え置き」が基本、そして変わるときにも一定のルールがあります。
【「基準金利」が動くとローンの金利も連動して動く】
新長期プライムレートなどをもとにして、各銀行で住宅ローンの「基準金利(規定金利、店頭表示金利などとも)」を定めています。
この基準金利からマイナス何%といった具合に金利をディスカウントして変動金利を決めています。
参照:三菱UFJ銀行 変動金利:0.625~0.775%(店頭表示金利:2.475%)
【原則1年に2回、見直しの時期が決まっている】
4月と10月に金利見直しをし、動きがあると3か月後の7月と1月に新金利が反映される銀行が多いです。
【金利が変動して大幅に上昇したとしても、直前の返済額の1.25倍以上にはならない】
仮定ですが、半年間で金利が1%⇒7%に急上昇したらどうなるでしょう?
毎月返済額も急上昇し、生活が組み立てられません。
それを防ぐため、直前のローン返済額を1としたら、その1.25倍までで、増額を止めるという仕組みです。
例:返済額は毎月10万円 → 金利が急上昇しても最大12.5万円(1.25倍)
変動金利と固定金利の併用型

これは変動金利と固定金利を選択できる形式です。
定変動ミックス型などとも呼ばれます。
【特徴】
・ 変動 → 固定へは原則いつでも変更可能
・ 固定 → 変動は、固定金利の期間(2年、5年間など)が終われば変更できる
・ 固定 → 固定も、固定金利の期間終了後再選択可能
・ 固定金利を選ぶときには手数料が必要(免除の場合もあり)
・ 固定金利中に繰上返済はできない、または高額な手数料・違約金が発生する
参照:
三菱UFJ「ずっとうれしい金利コース」 固定金利期間2年:1.10~1.25%
みずほ「全期間重視プラン」 固定金利期間2年:0.65~0.90%
*銀行により、金利適用条件が違いますので必ず確認してください。
固定金利型
最初から最後まで固定金利の形式で、住宅金融支援機構の「フラット35」が代表格です。
また最近では、銀行でも長期間(20年~35年)固定金利の形式が増えてきました。
固定金利期間中は繰上返済できないなど、特徴は上記した併用型と同じです。
参照:
フラット35:全期間固定1.290~2.030%
三菱UFJ:固定金利31~35年:1.75%
再確認で相違に気づいた場合
手元に返済明細などがあって、見てもよくわからない、どこに何が書いてあるのかもわからないというお客様も多いです。
何年かして、契約を見直すと
「変動金利型がおすすめと言われてそうしたのに、A銀行の固定金利の方がもっと低い!」
など、契約時に思っていたことと相違があること気づくかもしれません。
現時点ではどうすることもできないと諦めず、次のことを試してください。
「借換え」:交渉がうまくいかないなら他の銀行に借換えする
「金融ADR」:契約時の説明がおかしいなど納得いかなければ、金融ADRに調停を申込む
それぞれ次項で注意点なども含め説明していきます。
金利の交渉
銀行ならどこでも、住宅ローンのお客様はとても大事なお得意様です。
35年など長期にわたって毎月金利を払ってくれますし、ローンの口座には給料振込や各種自動引き落とし、またクレジットカードや家族の口座取引から、将来的には退職金の運用まで、とにかく住宅ローンがあり銀行がメイン銀行であるのと同じように、銀行も住宅ローン取引先は重要です。
1度取引した住宅ローンは簡単手放したくないので金利交渉すればうまくいくこともあります。
こんな筈じゃなかったと銀行窓口で申し出れば、普通は金利引き下げを提案してきます。
もちろん固定金利中で変更できないなどの場合もありますが、それでも次回に引き下げを約束するなど柔軟な対応も期待できます。
顧客を手放したくないなら、最大限の努力で引き留めようとするはずで、その最大限の努力が金利引き下げ(手数料の減免もあり)です。
これは、顧客側にもメリットがあり、借換えできるとしても登記費用(今の銀行から担保を外して次の銀行へ担保にする)や契約書類の収入印紙代、保証会社の保証料など費用も必要になるので、よほど金利が下がらないとメリットが打ち消されかねません。
借り換えするくらいなら、取引している銀行で金利を下げた方が安上がりです。
借換え
窓口で金利交渉したがうまくいかなかった場合は、他の銀行に借り換えすることも検討して見ましょう。
ただし、以下の点には注意してください。
注意点1:保証料
保証料込み、金利条件など本当に得なのかをしっかり確認します。
借換えを提案している銀行は、見た目にはとても良い条件を提示するものですが必ず今と比べてどうなのかを必ず確認してください。
保証料は、これまではローンを借りるときに一括前払い(これが主流)したけれど、次の銀行では毎月金利のように〇%として分割で保証料を払い、長い目で見ると保証料支払が前より多くなるのでお得とは言い切れないこともあります。
注意点2:生命保険(団体信用生命保険)
三大成人病になったらローン全額がチャラに、など最近は特別な団体信用生命保険(以下、団信)も多いです。
今の銀行で特別な団信だったのに、次の銀行は一般的な団信(死んだらチャラ)になってしまい、単純に金利や返済額が減ったとメリットばかりではないので注意が必要です。
これまでの特別オプションを別の保険でカバーしようとすれば結局保険料が増えるのでメリットどころかデメリットにもなりかねません。
金融ADR

住宅ローンの再確認をしたら、
「自分が理解していた内容と違う」
「あのとき銀行員から聞いた説明と食い違っている」
「あの銀行員にだまされた!」
もしもこうした状況になった場合も、憶することなく主張してください。
注意点は、なにごとも証拠をそろえることです。
住宅ローンの説明を聞くときはメモを取る、紙のメモでも携帯のメモ機能、また日記でも証拠になります。
そして、住宅ローンについて苦情を言ってもなかなか銀行と話しが進まない場合には、「金融ADR」という制度があります。
金融ADRは公的な制度で、銀行など金融機関の取引で発生したトラブルや苦情を中立な立場で調停してくれる機関ですので、きっとあなたの役に立ってくれると思います。
コロナ禍の今だから、見直すべきところは見直して、ぜひ新しい生活様式のプラスになるよう銀行との付き合い方も見直してみてください。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)