新型コロナウイルス感染症でテレワークを経験したり、感染の危険を感じながら満員電車で出勤したりした人の中には、
と思い始めた人もいるのではないでしょうか。
いま、移住を前提に各地方の情報収集を始める人が増加しています。
移住スカウトサービス「SMOUT」を開設している株式会社カヤックLivingによると、2020年5月1~20日までの「SMOUT」新規登録者は、4月の同時期(4月1日~20日)と比較して6割増、各地域のページに対して「興味ある」と回答した数も1.5倍になるなど、地方移住への興味関心が高まりを見せています。
しかし、今いる住処を引き払って別の土地に移住するとなると、経済面でも不安になります。
地方移住を希望する人が使える国の支援金制度があるので、詳しく見ていきましょう。
参照:株式会社カヤックLiving 2020年6月4日プレスリリース
目次
UIJターンによる起業・就職の支援
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東京一極集中の是正と地方の担い手不足対策のため、国は地方移住による起業・就業者を支援する「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」を行っています。
「地方創生起業支援事業」は、移住先地域の課題に取り組む「社会性」、「事業性」、「必要性」の観点をもった社会的起業を支援するもので、最大200万円の支援金を受けられます。
「地方創生移住支援事業」は、移住先地域の重要な中小企業等への就業や社会的起業をする移住者を支援するもので、最大100万円(単身の場合は最大60万円)の支援金が受けられます。
つまり、地方移住をして、さらにその地域の課題に取り組む事業で起業すると、合計で最大300万円の支援金が受け取れる仕組みです。
「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」は2019年度~2024年度に首都圏から地方に移住する場合に利用できる制度で、以下のような条件があります。
支援を受けられる人の条件
1. 移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または通勤していた人
2. 東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域へ移住し、申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思がある人
3. マッチングサイトに移住支援金の対象として掲載する求人に新規就業した人、または起業支援金の交付決定を受けた人
※詳細な条件は内閣府の地方創生サイトを確認してください。
ただし、移住支援金を受けられる移住先は、移住支援事業を実施する都道府県・市町村に限られます。
たとえば東京から大阪に移住したとしても、大阪府では「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」を実施していないため、この支援金の対象にはなりません。
ただし、大阪府内の市町村で独自の支援制度は行われています。
地方自治体のさまざまな「マイホーム」支援策
移住するだけで支援金を受けられる制度は確かに便利ですが、やはりそれだけでは心もとなく、特に移住先の住まいの確保は大きな懸案事項です。
移住者受け入れに力を入れている自治体では、住まいに関してもさまざまな支援策を設けています。
たとえば茨城県境町では、町外から移住する子育て世帯に向けて、新築一戸建ての町営住宅を相場より低い家賃で提供しています。
さらに、その町営住宅に20年間住み続ければそのまま無償で譲渡するという特典を設け、子育て世帯の定住促進を図っています。
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このような「公営住宅に安い家賃で住み続ければ、数十年後に土地建物を無償譲渡」という制度は、宮城県七ヶ宿町など他の自治体でも行っている定住促進策です。
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ほかにも、自分で土地を取得して住宅を建築した場合の補助金や、空き家のリフォーム費用補助金、賃貸住宅の家賃助成金など、自治体ごとに住まいに関するさまざまな支援制度が設けられています。
参照:内閣府「移住・定住施策の好事例集(第1弾)(pdf)」
地方暮らしに魅力を感じる人は今後も増加
首都圏に比べ、地方では割安に土地建物が購入できるうえ、自治体の補助制度があれば家計にも余裕が持てます。
仕事や子供の進学先など、総合的に考えることはもちろん必要ですが、地方での暮らしに魅力を感じる人は今後も増えていきそうです。(執筆者:久慈 桃子)